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2012年02月28日

[フィンガー・ペインティング(finger painting)]

フィンガー・ペインティング(finger painting)

『遊戯療法(プレイセラピー)・芸術療法(アートセラピー)』の一種として、クライエントに好きな絵を描かせるという絵画療法がある。フィンガー・ペインティング(finger painting)というのはその絵画療法における一つの投影的な技法であり、具体的には指を使って自由な描画をするという方法である。指に直接べっとりと絵の具をつけて、画用紙に思いのままに『好きな色・形』でなすりつけるように絵を描かせるというのがダイナミックなフィンガー・ペインティングのやり方である。

フィンガー・ペインティングの創始者とされるのは、幼児教育学者のR.F.ショー(Ruth F. Shaw, 1934)である。R.F.ショー自身は、心理アセスメント(心理検査)や心理療法(カウンセリング)としてフィンガー・ペインティングを構想したことはなく、当初は『幼児教育法・情操教育の一環』として捉えられており、ショーは自由な気持ちでのびのびと絵の具で色をつけて好きな形(図像・絵柄)を作っていけばそれで良い(一定の教育効果がある)と考えていたようである。

現在の遊戯療法では、遊具・おもちゃを使った遊びや汚れにくいクレヨン・色鉛筆を使った描画(お絵かき)が主流になっているが、R.F.ショーのフィンガー・ペインティングはその後、『診断法(心理アセスメント)』や『カウンセリング技法』の一種として一定の発展を見せることになったのである。指を直接的に絵の具をつけて、ダイナミックに好きな絵柄(=抽象的な形態)を描かせるというフィンガー・ペインティングは、“子どもの無意識的な内容・情動”が反映されやすいということから『投影法(projective method)』の心理アセスメントとして用いられることもある。

カウンセリング(心理療法)としてのフィンガー・ペインティングでは、『抑圧していた感情・記憶』を自由な形式で解放するというカタルシス効果があると考えられており、『画用紙を汚すこと』で親(保護者)に注意・関心を自分に向けて欲しいという『被保護欲求(承認欲求)』が表現されやすいメリットもある。『絵の具で画用紙を汚す行為』の心理的な意味では、砂場での泥んこ遊びをすることで自分を汚して、親(保護者)に関心を向けてもらうのと類似した心理メカニズムが働いているとも言える。

posted by ESDV Words Labo at 08:00 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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