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2006年10月19日

[中山正和のNM法と川喜田二郎のKJ法:創造的発想法(創造性開発技法)]

中山正和のNM法と川喜田二郎のKJ法:創造的発想法(創造性開発技法)

職業上の技能や経験を向上させ、仕事の対人関係や悩みを改善するキャリアカウンセリングの分野の一つに、『創造的発想法』あるいは『創造性開発技法』というものがある。創造性(creativity)とは何であるのかという定義は難しいが、創造性とは一般的に『今までにない何かを新たに生み出す能力・資質・直感』のことであると考えられている。しかし、無から有を作り出すことが原理的に不可能であるように、既存の知識理論や技術体系を無視して創造的に新たな何かを生み出すことは出来ない。

過去の知識・理論・技術・経験の蓄積の中から、未来に向かう新たな創造的発想が生まれ、その創造的な発想に基づく問題解決の方法論や実践が編み出されてくる。画期的な問題解決の方法論を具体的に考えると、『新技術の発明・新たな法則の発見・新規ビジネス・問題状況の解決と前進』などが考えられる。創造的な発想そのものは抽象的で観念的な場合が多いが、それを具体的な形にしていく過程で実用性や応用性が考えられていくことになる。現代文明社会における創造的発想とは、原則的に、実用化(技術化・ビジネス応用)すれば何かの役に立つという『プラグマティズム(実用主義)』に基づくアイデアということが出来る。

上記のように考えると、創造性(creativity)とは、『過去の情報(概念)や知見を自由自在に組み合わせたり、物事を考える視点(立場)を転回させたりして、画期的で有用な組み合わせ(関係づけ)を着想する能力(人間性)』と定義することが出来る。創造的発想は、新規で画期的であるだけでは高く評価されることはなく、問題解決や目的達成に役立ち有用であることによって高く評価されるのである。

創造的発想をする為には、過去の学習行動や人間関係から蓄積した情報や知識を、自由自在かつ効果的に組み合わせる柔軟性と情報処理能力が必要である。効率的な情報処理の為に最も重要な技術となるのが、無秩序で膨大な情報を整理する技術である。無数のデータから問題解決(目的達成)に役立つ有効なアイデアを生み出す発想法に、川喜田二郎(1920-)KJ法がある。KJ法という名称は、ネパールやヒマラヤのフィールドワーク研究などを精力的に行った文化人類学者の川喜田二郎(Kawakita Jiro)のイニシャルから取られている。

帝大時代の京大を卒業した川喜田二郎は、ダーウィンの自然選択説を否定する今西進化論や棲み分け理論を提唱した人類学者であり生物学者でもある今西錦司の後輩に当たり、文化人類学や民族学の分野で多くの成果を上げている梅棹忠夫とも親交があった。1986年に原因不明の失明をした梅棹忠夫も今西錦司の弟子筋に当たり、失明以前の梅棹忠夫は文化人類学のフィールドワークとして世界各地の登山研究にも関心を持っていた。今西錦司・梅棹忠夫・川喜田二郎の3人は文化人類学や地理学・民俗学の調査研究(フィールドワーク)でカロリン諸島や大興安嶺山脈などに登山に赴いたことがある。KJ法の開発は、川喜田二郎のネパールやヒマラヤにおけるフィールドワーク研究と切り離して考えることが出来ない。

KJ法は、膨大な定性的データ(情報)が関係する複雑な問題の解決に役立つ『情報整理と創造的発想の技術』であり、KJ法のプロセスは『情報の収集→情報の分類整理→新しい有効な発想・アイデア・方法・技術の思いつき』という流れで表現することができる。KJ法は現代では古典的な思考法(情報処理法)であるが、その基本的エッセンスは、企業人のキャリアアップやプレゼンテーション、管理職の人事管理や業務改善、マーケティング担当者の市場把握やCS(顧客満足度)向上などに応用可能である。

KJ法は、『雑多な情報が溢れている頭の中をすっきりと整理して、固定観念に囚われずに問題解決に臨む技法』ということが出来る。ブレインストーミングで提出された数多くの発想や情報を的確に取りまとめていく方法としてもKJ法は有効であり、川喜田二郎自身は『ブレーンストーミング→KJ法→PERT法』という順番で情報処理と創造的発想を進めることを著書『発想法−創造性開発のために』で提案している。KJ法の具体的な方法はシンプルなもので、雑多な情報・アイデアをカードに書き出し、そのカードを類似性(親近性)や関連性によってグループ分け(グルーピング)して見出しをつけ、その情報整理過程から新たな発想を発見しようというものである。

KJ法は、『情報収集(ラベル集め)→グループ分け→図解化(データ群の関係性を空間的に把握する為に、物語性を考慮して図解化・構造化する)→叙述化(複雑なデータ群の関係性や問題解決のための発想を文章化してみる)』によって進められていくことになるが、工学者である中山正和が開発した創造的発想の為のNM法というのもKJ法を応用したものである。

工学者・中山正和が提唱したNM法では、考えるヒントを得る『着想』と有効なアイデアを思いつく『発想』を分けて考え、一定の技法的手続きに従うことで具体的なテーマ(問題)を解決するためのアイデアを得ようとするものである。NM法の具体的な技法には、雑多な情報からテーマに関係するヒント(類似性のある情報)を着想するための『T型展開』、カードに書き出したアイデアを何段階かの過程を経てグルーピングしアイデアを得る『A型展開』、過去・現在・未来の時系列の中でアイデアを実用化していく『S型展開』がある。それ以外にも、『画期的な発明』のために着想と発想を同時に実施する混合型の『H型展開』もある。

ラベル:経営学 心理学
posted by ESDV Words Labo at 20:29 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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