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2012年03月15日

[フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:1]

フェミニズム(feminism)とジェンダーフリーの思想・歴史:1

フェミニズム(feminism)『女性主義・女権拡張論』と訳される思想であり、既存の社会体制を男尊女卑の『男性優位主義(男性中心主義)』に基づく男性社会と仮定して、女性の権利の拡大や男女同権社会の実現を目指すものである。フェミニズムの歴史は19世紀の女性参政権(婦人参政権)要求の時代から続いているが、近年の先進国では『顕著な男尊女卑の制度・文化・価値観』が減ってきたことや『男性の経済的・社会的な優位性(支配性)』がかつてよりも衰えていることから、フェミニズムの思想としての目的性も変化を余儀なくされている。

フェミニズムの原理的な意義・目的は、『女性の権利・地位・選択』を男性と同等の水準にまで引き上げて“女性であるがゆえの不利益”を無くすことにあるが、その後の過激化したフェミニズムには、男性を仮想敵として攻撃し、『男性性(支配性)の否定・女性の優位性・女性中心社会(女性優位社会)の構築』を主張するものも出始めた。

フェミニズムを研究しながら女性の権利拡張(男女同権)を主張したり信奉したりしている人を『フェミニスト(feminist)』というが、フェミニズムの思想を掲げるフェミニストが目的としたり理想としたりしている社会状態は以下の4つに分類することができる。

1.男性だけにしか認められていない権利や自由を無くし、女性であるがゆえの差別や不利益を無くした『男女同権社会(マイルドで常識的な男女平等)』。

2.歴史的に見られた“男性の暴力性・支配性・権益性”を厳しく攻撃して、“女性の非暴力性・寛容性・共有性”などを分かりやすく強調することで、女性性を賞賛して女性の優位を確立した『女性中心社会・女性優位社会(女性の男性化や女性の支配欲・政治性の肯定)』。

3.あらゆる分野・活動・立場において、“男女の性差(男らしさと女らしさ)”の影響を排除した形式的に平等で中立的な価値観を持つようにする『ジェンダーフリー社会(性差の影響のない社会)』。

4.男女は制度や権利の面では平等であるべきだが、生物学的な性差(セックス)や社会的な性差(ジェンダー)に由来する“一定の自然な男らしさ・女らしさ”までは無くさなくても良いとする『ジェンダーを残した男女同権社会(家族制度や男女関係を支えてきた性差の影響もある程度認める社会)』。

男性性(男性社会の今までの歴史)を激しく攻撃して否定する“2の女性中心社会の構想”や伝統的に認められてきた男らしさ・女らしさのジェンダーの影響をすべて無くそうとする“3のジェンダーフリー社会の構想”は、初期のフェミニズムが目指した『権利・制度における男女平等主義』よりも過激な思想であり、単純な男女平等というよりは人々の思想改造(意識改革)に近いものになってきている。

そのため、ラディカルに男性を攻撃したり男女の違いの全てを否定したりする“2の女性中心社会の構想”や“3のジェンダーフリー社会の構想”に賛成する一般人の比率は高くはないだろう。一般の人が賛成したりイメージしやすいフェミニズムというのは、歴史的に男女の権利的・制度的な平等を推進してきた“1の男女同権社会の構想(マイルドで極端ではない男女平等)”である。

posted by ESDV Words Labo at 09:02 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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