核家族・直系家族・複合家族(joint family)の家族形態
現代日本をはじめとする先進国の家族形態は、夫婦とその子どもだけから為る『核家族化』が進んでおり、配偶者を失った高齢者を中心に『単身世帯化(一人だけの世帯化)』も進行している。若年層では男性所得の減少や男女のミスマッチ、女性の社会進出、人生観(価値観)の多様化などによって『晩婚化・未婚化』も進んでおり、『少子高齢化・離婚増加』の問題とも合わせて、将来的には更に単身世帯で暮らす人が増えそうな流れである。
人類・民族の歴史的な発展段階を見ると、経済活動や文化・文明が発展して豊かになり、教育水準・医療水準が高くなればなるほど(個人の自我意識が強くなり病気での乳児死亡率が下がるほど)、『産まれる子どもの数』が減少して『家族の規模』が小さくなる傾向が見られる。未開文明の部族社会や貨幣経済が発達していない地域の家族では、子どもを多く産む『多産』の傾向が強いだけではなく、親夫婦と複数の子ども夫婦が同居して農業・牧畜で協働するような『大家族』の形態が見られやすい。
人類社会の人口動態は、疾病での死亡率が高いから多く産むという『多産多死』から死亡率が下がったから少なく産んで大切に育てるという『少産少死』へと移り変わってきた。更に、個人主義・自由主義の価値観が広まり、プライバシー(私的領域)を重視するライフスタイルが普及したことから、『集団生活のストレス・親世代との同居の煩わしさ』に耐えられない人が増え、家族の規模も核家族が中心になって小規模化していったのである。
家族構成は大きく分ければ、以下の『核家族・直系家族・複合家族』の3つの家族構成に分けることができる。
核家族……夫婦とその子ども(未成年あるいは独立していない子ども)だけから構成される家族。“家”という概念が乏しく、子が就職したり結婚したりして自立すると、親夫婦とは別の世帯となり一緒には同居しないことが多い。
直系家族……夫婦(長男の親)とその長男の夫婦から構成される家族。次男以下の子どもは実家に留まることが難しく、田舎から都市に就職したりする。女の子どもは結婚して実家を出ることになる。現代の日本でも農村部にはこの直系家族が多い。
複合家族……夫婦とその子どもの夫婦から構成される家族だが、直系家族とは違い『長男以外の男の子どもが作った家族』とも同居する。もっとも大規模な家族構成であり、親夫婦、長男夫婦とその子、次男夫婦とその子、三男夫婦とその子などが一つの家や近隣の家で暮らすことになり、“同じ一族・部族に所属しているという連帯の意識”が強い傾向が見られる。