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2006年10月26日

[横断的研究法(cross-sectional method)・縦断的研究法(longitudinal method)・コホート法(世代差分析)]

横断的研究法(cross-sectional method)・縦断的研究法(longitudinal method)・コホート法(世代差分析)

統計学的調査・解析を伴う科学的な量的研究法には、その調査対象と調査を実施する時間軸の違いによって、『横断的研究法(cross-sectional method)』『縦断的研究法(longitudinal method)』がある。今まで、心理学分野で統計学的調査を行う場合に、縦断的であるか横断的であるかを考慮して研究することが多いのは発達心理学の分野であった。

しかし、受精の瞬間から死に至る時間過程の発達を研究対象とする発達心理学以外にも、教育心理学や臨床心理学、社会心理学など広範な分野において統計学的操作を行う量的研究が重要視されるようになっている。『時間経過による変化の調査』『集団間の比較調査』といった心理学研究の目的を達成する為に、縦断的・横断的な統計調査が行われるようになっている。

横断的研究を簡単に説明すると、研究対象の時間経過による変化や発達を意識せずに、その時点における『複数の研究対象の状態(特徴・能力・病態)』を横断的に比較調査する研究方法である。それに対して、縦断的研究というのは、『単一の研究対象』の時間経過による変化や発達を調べる為に行うもので、『同一の実験群(調査対象者)』を縦断的(継続的)に追跡調査する研究方法である。

横断的研究という名称から漠然とイメージできるように、『横断的(cross-sectional)』というのは『複数の調査対象者(実験群)』を横に広がって同時に調査していく研究方法である。縦断的研究もその名称から何となくイメージできるように、『縦断的(longitudinal)』というのは『単一の調査対象者(実験群)』を縦の時間軸に沿って継続的に調査していく研究方法と言える。

横断的研究法(cross-sectional method)とは、文化人類学や言語学の研究法でいう『共時法』であり、“ある時点”における“複数の実験群”を調査して、それぞれの実験群の特徴(実態)を把握し、実験群間の類似点や相違点を明らかにするという目的に適している。発達心理学の調査法でいえば、年齢の異なる複数の実験群に、同時に質問紙(アンケート)や調査面接を行って、各年齢層の実態や状態を一度に調べてしまおうという方法論に当たる。

横断的研究法の長所は、『発達過程の一般的傾向・統計的内容』を簡単に調べることができ、大量の統計データを一回(ある時点)の調査で短時間のうちに収集できることである。反対に、横断的研究法の短所は、実験群に対する継続的な調査を行わないので、その後、その実験群の人の状態や特徴(態度)がどのように変化したのかを明らかに出来ないことである。更に、横断的研究では、ある時点における比較調査や相関関係は調べることが出来るが、時間経過による変化を考慮した因果関係については言及することが出来ない。

縦断的研究法(longitudinal method)とは、文化人類学や言語学の研究法でいう『通時法』であり、“同一の実験群(被験者)”を一定以上の期間にわたって“継続的”に調査して、その実験群(被験者)の時間経過に伴う変化や成長(衰退)を明らかにするという目的に適している。発達心理学や臨床心理学の調査法でいえば、ある年齢の被験者の精神疾患(発達障害)の病態や精神状態の変化を、数年にわたって調査して経過や予後(転帰)を個別的に記述する研究が当てはまる。

縦断的研究法の長所は、『発達過程(病態・障害)の個別的傾向・具体的内容』を詳細に調べ上げることができ、質的研究に応用可能な“同一の被験者”の統計データを長い年月にわたって有効活用できることにある。反対に、縦断的研究法の短所は、同一の実験群(被験者)を何ヶ月、何年と長期間にわたって追跡調査する為、『人的・経済的・時間的コスト』が非常に高くなってしまうことである。初めは10年間にわたる継続的な研究を決意していても、『被験者の死亡・病気・事故・協力拒否』などによって、調査に必要な定期的コンタクトが取れなくなることも少なくない。また非常勤の研究者の場合には、研究予算の配分の都合などによって、各種のコストに研究活動が圧迫されてしまうリスクも抱えている。

縦断的研究法と横断的研究法の長所を統合した統計学的調査法として『コホート法(cohort method)』がある。コホート法は世代差分析とも呼ばれるが、コホートとは『同年齢・同世代の集団』を意味する語である。コホート法では、同年齢の集団に対して初めに横断的調査を行った後に、継続的な縦断的調査を実施する。実験群となった『同年齢の集団』の行動・特徴の一般的傾向を明らかにすると同時に、継続的な追跡調査によって因果関係も明らかにしていくのである。コホート法を的確に実施することによって、複数の年齢集団の類似性や一致度を調べて、『特定の年齢層に限定されない一般的な変化の傾向』を解明することが出来る。



ラベル:研究法 統計学
posted by ESDV Words Labo at 07:21 | TrackBack(0) | お:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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