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2012年04月14日

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:1

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:1

福祉(welfare)とは『幸せ・豊かさ』を意味する言葉であり、社会福祉(social welfare)とは社会政策や社会制度を通して『社会全体・国民全般の幸せや豊かさの向上』を目指そうとする活動であり、特に貧困や病気、障害、高齢、未成年、寡婦などのハンディキャップ(不利な要因)を抱えた社会的弱者を支援・介助しようとする人や制度、施設を指すことが多い。国家の政策・制度では、社会保障(social security)の一分野として社会福祉が位置づけられていることもある。

未成年者や高齢者、障害者、病者、生活困窮者(ホームレス)、一人親世帯(母子・父子家庭)など、生活の上で何らかの支援・介助(補助)・矯正を必要としている人に対して、『生活の質』を維持向上させたり自立(矯正)を支援したりするサービスを社会的に提供する制度・活動・施設の総体が社会福祉と呼ばれており、社会福祉を実践する行政機関・人員配置の拠点として『福祉事務所(social welfare office)』と呼ばれる一線の現業機関(要支援者と現場で直接に接していく機関)が存在する。

福祉事務所は社会福祉法第14条で規定されている『福祉に関する事務所』であり、戦後の福祉事務所は昭和26年に制定された社会福祉事業法第13条に基づいて、人口10万人に対して1ヶ所を目安にして設置された。福祉事務所は『福祉六法(生活保護法・児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)』に定められている援護や育成又は更生の措置に関する事務を司っている第一線の社会福祉行政機関となっている。都道府県及び市(特別区含む)は福祉事務所の設置が義務付けられており、町村は任意で設置することができるようになっている。

『社会保障(social security)』『社会福祉(social welfare)』の概念は類似したものであるが、社会保障のほうが医療・介護・年金・教育・生活保護といったより具体的な国家の社会制度として認識されることが多い。そのため、法律・政策上は社会福祉は社会保障の一分野として下位に位置づけられているのだが、実際的・概念的には『社会保障+公衆衛生(保健行政)+教育行政の分野』を含めて社会福祉と呼んだり理解されたりすることも多いのである。社会福祉は日本の法令では『公共の福祉』という独特の概念・用語で説明されていることもある。

法律上・政策上では、具体的な社会福祉の構成要素として、福祉六法を前提としてそれから派生し、または関連した政策の全体を指していることがある。『社会保障(social security)』とは、20世紀以前には個人的リスクとして認識(看過)されてきた『老齢・病気・失業・障害・貧困』などの生活上・経済上のハンディキャップに対して、貧困の予防や自立の支援、経済生活の安定などのために政治的・社会的な財の再配分(所得移転)を行うことである。

最低限の所得(生活保護)や医療・介護の受給を保障(支援)したり、公的扶助からの自立(脱却)を支援するための行政サービスを行ったりするが、日本では社会保障・慈善事業は『仏教的な慈悲・共同体的な相互扶助・親族間の助け合い』などに基づいて実施されてきたが、本格的な社会福祉が政策化されてきたのは第二次世界大戦後(アジア太平洋戦争後)のことである。

posted by ESDV Words Labo at 10:06 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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