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2012年04月14日

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:2

福祉事務所(social welfare office)と社会福祉・社会保障:2

この記事は、[前回の項目]の続きになっています。 日本の社会福祉の起源は、聖徳太子や光明皇后、鑑真などが建設したと伝承される『悲田院』とされており、貧者や被差別者、病者、孤児を救済する社会福祉的な国家・宗教の慈善事業が行われていたと推測されている。

社会保障・社会福祉を国家が実施しなければならないという根拠は、日本国憲法第25条にある『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。』という社会権(生存権)の規定にあるとされるが、現状では実質的に何もしなくても生存権が保障されるわけではなく、最低限度の健康で文化的な生活を営むためには国民自身の不断の努力も必要になるという『プログラム規定』に留まると解釈されている。

日本の社会保障制度は、社会保障制度審議会(現:経済財政諮問会議・社会保障審議会)の分類では、『社会保険・公的扶助(生活保護)・社会福祉・公衆衛生及び医療・老人保健』の5本の柱から構成されると定義されており、これらに(戦争従軍者)の恩給と戦争犠牲者の援護を加えることもある。社会福祉分野(社会保障政策部門)には、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士などの『国家資格』があるが、福祉施設・保育施設の仕事を遂行する上で業務独占の排他的資格にはなっていないため、職業上の肩書きが資格名にならないケースも多い。

社会福祉分野の雇用・求人の問題点として、高齢者率の急増という超高齢化を反映して『高齢者関連の福祉施設』は民営化の影響もあり施設数・求人数が増加したが、民営化が殆どされていない『児童・障害者関連の施設』は保育所(保育士)を除くと施設数が少なく求人数も少ないというバランスの崩れが指摘されている。高齢化社会が進む日本では1990年代以降、福祉・介護の社会的ニーズが高まっており、福祉系大学の新規開学・学部新設も行われているのだが、『介護支援専門員(ケアマネージャー)・介護福祉士、2級以上のホームヘルパー』など高齢者福祉に関わっている仕事の『雇用待遇・労働環境・賃金水準』は劣悪な部分があり3K仕事として敬遠されやすい向きもある。

高齢者福祉分野(介護分野)は、離職率が高くて労働内容に見合った賃上げが思うように進まないという政策的課題を抱えており、インドネシアやフィリピンなど東南アジア諸国から『EPA(経済連携協定)』で外国人の介護福祉士を迎え入れようという政策的な動きもある。だが、『日本語の教育とコミュニケーションの壁・介護福祉士や看護師の国家試験を日本語で受ける難しさ・就職してからの労働条件の厳しさ』などがあって、EPAに基づく外国人労働者の福祉(介護)への導入というのも簡単に進む話ではなく、労働意欲があり介護現場への関心がある外国人労働者に定着してもらうためのより一層の政策的・待遇的な努力が必要である。

誠実で気質的にも優しい人が多いとされる、東南アジアの女性の介護福祉士の現場での評価は高い部分もあり、今後、介護分野での『マンパワー不足』が深刻化してくると予測されるため、EPA(経済連携協定)に基づく『有資格者・キャリアの外国人労働者の受入れ』は重要な政治目標になってくるだろう。社会福祉に関係する資格には『国家資格・公的資格・任用資格』の区別がある。

posted by ESDV Words Labo at 10:08 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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