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2012年04月15日

風疹(rubella)・先天性風疹症候群

風疹(rubella)・先天性風疹症候群

風疹(rubella)は風疹ウイルスの感染が原因となる感染症で、子ども時代に一度、罹患すると免疫が形成されて再発症しにくい疾患として知られている。日本では『三日はしか』と呼ばれることもあり、英語では『German measles(ドイツはしか)』と表記することがある。6〜9年ごとに大きな流行が起こることが確認されていたが、1996年以降は大きな流行は起きておらず、その伝染力は同じ子どもに多い感染症である水痘、麻疹(はしか)よりは弱い。ウイルスに感染したとしても、約25%は症状の出ない『不顕性感染』になるため、発熱・発疹の症状がでていなくても風疹ウイルスに対する免疫が形成されていることもある。

風疹ウイルスは『トガウイルス科ルビウイルス属』のウイルスであり、直径50〜70nmの一本鎖RNAウイルスで正十二面体のカプシド構造を持っていて、咳やくしゃみ、密接な接触による『飛沫感染』で他人に感染すると考えられている。ウイルスの感染力が維持されている期間は、『赤い発疹が出る発症前の1週間から発疹消滅後の1週間まで』である。風疹は感染してもすぐに症状が出る疾患ではなく、通常、“2〜3週間の潜伏期間”を経てから発熱・発疹といった全身症状が発症してくる。

感染の初期症状は鼻水と咳、痛みのないバラ色(薄い赤色)の斑点の発疹などであり、発疹が出てくる前には耳の後ろや後頭部辺りのリンパ節が腫れやすくなる。風疹の典型的な3症状は『紅色斑丘疹(顔をはじめとする淡い赤色の発疹)・発熱(37〜38度くらいの熱)・頸部リンパ節腫脹』である。この典型的な3症状が認められない場合には、溶血性レンサ球菌による発疹、伝染性紅斑などを疑う必要があり、病原菌(感染したウイルス)が何なのかを調べるための『病原診断』を実施することになる。

発疹症状では、顔が赤くなって頚部や体幹より相互がくっつく癒合性がない『点状の紅斑(発疹)』が広がってくるが、多くの発疹は 3日程度で消失して稀に色素沈着がそのまま残ってしまうこともある。38〜39度前後の発熱も3日程度続くことがあるが、すべての感染者が発熱するわけではなく、発熱するのは感染者の約25〜50%であるとされている。

風疹の症状は大体、数日間で消失することが多く、予後は良好であり罹患後には免疫が形成されて、同じ風疹ウイルスには感染しにくくなる。稀に『関節炎・血小板減少性紫斑病』といった比較的重い合併症を発症するリスクがあり、その確率は3,000〜5,000分の1とされている。特に注意すべきなのは妊婦の妊娠初期(21週未満)の風疹の感染であり、胎児に『先天性風疹症候群』を引き起こすリスクがある。風疹の合併症で重篤なものとして『急性脳炎』もあり、極めて稀であるが命に関わる重篤な容態になってしまうことがある。

胎児の器官形成期である妊娠初期〜中期(概ね妊娠4週〜16週頃まで)に母親が風疹に感染した場合には、上記した『先天性風疹症候群』のリスクがでてきますが、これは新生児の眼・心臓・脳機能・発育などに様々な奇形・障害をもたらす症候群である。具体的な先天性風疹症候群の症状としては、『白内障・緑内障・脈絡網膜炎など眼の異常』『心奇形・動脈管開存症・肺動脈弁狭窄症など先天性心疾患』『聴力障害の感音性難聴』『精神発達遅滞』『血小板減少症』『脳性マヒ』『糖尿病』『間質性肺炎』『低体重児』などがある。

そのため、妊娠を考えている女性は、事前に『風疹抗体』が自分にあるかどうかを血液検査で調べることが望ましい。しかし、妊娠中には当然ワクチン接種はできず、ワクチン接種をした後にも2ヶ月間は『妊娠しないようにする避妊期間』を設けなければならない。ワクチン接種をしていてもその効果は永続的なものでないことが知られており、抗体が数年くらいの期間で弱化したり消失したりする可能性も指摘される。特に、1979年4月2日〜1987年10月1日に産まれた人は法律の移行期に中学生時代を過ごしている為、予防接種を受けていない人が多いとされる。

2006年4月以降は、新規にワクチン接種する1歳以上2歳未満(月齢12〜23ヶ月)の幼児は『麻疹・風疹混合ワクチン』を接種することになり、更に『小学校入学前・中学一年・高校三年』のいずれかにもう一度接種する『2回接種法』が導入されている。

posted by ESDV Words Labo at 11:28 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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