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2006年11月04日

[MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory, ミネソタ多面人格目録)のパーソナリティ検査]

MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory, ミネソタ多面人格目録)

クライエントの性格特性や問題状況などを全人的に理解するために実施する心理アセスメント(psychological assessment)の手段には、『面接法(調査的面接, 診断的面接)・観察法(行動観察, 関与的観察)・心理検査(心理テスト)』 などがあり、心理検査は更に性格検査(personality test)と知能検査(intelligent test)に分けられる。

面談室でクライエントと対面して、クライエントの主訴(精神的な症状や悩みの相談内容)と同時に、性格傾向や生活状況などを聴取する心理面接は『調査的面接(探索的面接)』と呼ばれることがある。心理アセスメントの重要な手段の一つである『調査的面接』でクライエントから聴き取る内容には、成育歴や既往歴、家族歴、人間関係、精神症状、認知傾向などを考えることが出来る。心理アセスメントに従事する心理臨床家は守秘義務を守って、カウンセリング(心理療法)の遂行に必要な情報を聴取していかなければならない。

心理アセスメントを通してクライエントの性格特性や精神障害、問題行動、生活環境、対人関係をより正確に理解していくことになるが、心理アセスメントの中心的な手段は『臨床的な目的と必要(クライエントの全人的理解と適切な技法の選択)』に応じて実施される心理検査(心理テスト)である。パーソナリティ特性を把握する人格検査(性格検査)の一つである『MMPI(ミネソタ多面人格目録)』は、1943年にアメリカのミネソタ大学の研究者S.R.ハサウェイ(S.R.Hathaway)J.C.マッキンレー(J.C.Mckinley)によって開発された網羅性と客観性の高い心理テストである。

MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)は、ミネソタ州の市民を母集団とする実験群からサンプリングして作成された質問紙法(Questionnaire)の人格検査で、550問の質問項目から構成されていて『はい・いいえ・どちらでもない』の三件法で回答するようになっている。MMPI(ミネソタ多面人格目録)は、網羅的な人格特性の資料(目録)を参照することによる『精神医学的診断の客観化』を目的として開発されているので、クライエントの精神症状や不適応行動、神経症傾向を分析する為の尺度項目(質問項目)が多くなっている。

MMPIは、多数の統計学的調査により信頼性と妥当性が確認されている心理検査だが、精神分析が勢力を誇っていた時代の疾病概念に強く影響されているので、エビデンス・ベースドな最新の科学的精神医学の知見と折り合わない部分もある。しかし、質問項目の多い多面的検査が出来るMMPIは、神経症(各種不安障害・心気症・強迫傾向)や精神病、不適応、精神的ストレスといった『精神病理学的な問題』を総合的に査定できるという効率性(利便性)のメリットがある。MMPIと並んで、統計学的な信頼性と妥当性が高い性格検査には、アイゼンクが作成したMPI(モーズレイ性格検査)やY-G性格検査(矢田部・ギルフォード性格検査)、EPPS(Edwards Personal Preference Schedule)などがある。

客観的な資料が得られるMMPIの評価尺度(測定尺度)には、精神医学的な不適応の診断で参考となる『10の臨床尺度』と被検者の態度によるテスト結果の妥当性を評価する『4の妥当性尺度』、ハサウェイとマッキンレー以外の研究者が後で追加したMAS(顕在性不安測定尺度)やES(自我強度尺度)などの『追加尺度』がある。以下にMMPIの臨床尺度と妥当性尺度を示しておく。

MAS(manifest anxiety scale, 顕在性不安尺度)は、1953年に、J.A.テイラーがMMPIの50項目を中心に作成した追加尺度であり、質問への回答結果によってT〜Xの5段階で相対的な不安感情の強度を測定することが出来る。MASの得点が高いと、心理臨床家との共感度の高い内容のあるコミュニケーションをすることが難しく、表層的な当たり障りのない雑談に終始する傾向が見られることから、MASはカウンセリングの効果測定の参考にされることもある。

□MMPIの臨床尺度(10個)

1.心気症(ヒポコンドリー):Hs……些細な身体感覚の異常に過敏になって、自分が何かの病気ではないかと思い込む傾向。
2.抑うつ傾向:P……気分が塞ぎこんで行動力が低下し、暗い憂鬱感や面倒な億劫感に囚われる傾向。
3.ヒステリー性:Hy……外界の対人関係やストレス状況に対して神経過敏に対応し、自己顕示的で感情的に興奮しやすいヒステリー傾向。
4.精神病質的偏倚(へんい):Pd……社会的な制度や既存の価値観(権威的存在)に執拗に反抗する偏屈で不適応な態度の傾向。
5.男性性・女性性:Mf……帰属社会で一般的に認められている性別役割行動を取っている程度と社会的性差(ジェンダー)に対する態度の傾向。
6.偏執性(パラノイア):Pa……過度の猜疑心に基づく被害妄想や嫉妬心の過剰による嫉妬妄想などパラノイア傾向。
7.精神衰弱:Pt……不安感によって心身の衰弱と環境の不適応をきたすなど神経症的な傾向。
8.精神分裂病傾向(スキゾフレニック):Sc……統合失調症(精神分裂病)の典型的症状に見られる観念連合の弛緩や両価性(アンビバレンス)、自閉的態度の傾向。
9.軽躁性(マニア):Ma……躁うつ病(双極性障害)の躁転期に見られる過剰な活動性や気分の高揚(ハイな爽快感)の軽度な傾向。
10.社会的内向性:Si……興味・欲求が内向性を見せており、外部の社会生活への参加や対人関係への関与を回避する傾向。

□MMPIの妥当性尺度(4個)

1.疑問尺度(?)……三件法で『どちらでもない』という優柔不断で拒絶的な回答を選択した度合いを評価する尺度。
2.虚構尺度(K)……自分を良く見せようとする『社会的望ましさ(SD)』に影響されている度合いを測定する尺度。
3.頻度尺度(F)……受検態度の偏りと注意力、質問項目間の整合性(矛盾のない回答)などの心理テストへの適応水準を測定する尺度。
4.修正尺度(K)……臨床尺度の修正を目的として回答する受検者の防衛的な態度を測定する尺度。K点が高いと自分の精神状態に関する質問への回答を技術的(意図的)に修正することで、『理想自我に基づく自己像』を相手に認識させたい願望が強いと推測される。

posted by ESDV Words Labo at 17:03 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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