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2012年05月05日

仏教思想と仏教カウンセリング(Buddhist counseling)4:カウンセリングの起源としての宗教セラピー

仏教思想と仏教カウンセリング(Buddhist counseling)4:カウンセリングの起源としての宗教セラピー

この記事は、[前回の仏教カウンセリングの項目]の続きになります。 カウンセリングや心理療法の歴史的起源は、『宗教療法・宗教的なセラピー(宗教教義を応用した暗示療法・催眠療法など含む)』であると考えられているが、仏教の世界観や実践法、概念には宗教的カウンセリングを可能にするものが多くあり、仏教教義・対機説法を活用したカウンセリングのことを『仏教カウンセリング(Buddhist counseling)』と呼んでいる。

仏教の教えや修行、信仰は、衆生が生活している俗世で起こる苦しみや悲しみ、迷いをどのようにして乗り越えていくべきかに応えるものであり、『人と人との関係性』を前提にしていることもあってカウンセリングとの相性は良い。仏教では曹洞宗や臨済宗の禅宗をはじめとして『正師(学師)と弟子との関係』を重視する宗派も多く、それぞれの宗派の奥義や秘術、真理は『師資相承(ししそうしょう)』の形で引き継がれているので、その師弟関係を応用して仏教カウンセリングの『カウンセラーとクライアントの信頼関係(=ラポール)』を構築することができる。

宗教的カウンセリングの系譜としては、キリスト教カトリック(ローマカトリック)で信者が教会の神父(聖職者)に罪の許しを得るために、過去のあやまちや悪事について語る『懺悔・告白(告解)』が知られているが、キリスト教のプロテスタント(牧師)でも近代的なカウンセリングの技法や発想を取り入れた『牧会カウンセリング』が行われていることがある。仏教カウンセリングでは、人間の苦しみや悲しみの原因と結果の『因果論(相依相即の関係性)』について考えてきた仏教の思想・実践が応用されており、特に俗世と人生における『四苦八苦』の解消や緩和を支援するようなカウンセリングの研究・実践が重視されている。

仏教で人間世界の苦しみや悲しみ、絶望を乗り越えるための究極の方法であり目的でもあるのは、言うまでもなく『悟り・解脱』という仏陀(如来)への道であるが、これは生身の人間が容易に実現できるような目的ではなく、理想的かつ観念的(思想的)な自己実現といった趣きがどうしても強くなってしまう。

仏教の四諦八正道の教義や諸行無常の概念が説くように、確かに世俗でのあらゆる煩悩(執着)を捨て去れば人間の苦悩は緩和して無くなるだろうが、一般的な人間(クライアント)には『煩悩消尽』という目標は困難であるだけでなく、その人が求めている俗的な幸福・安楽のイメージとも合致しないという限界がある。

そこで仏教カウンセリングでは、仏教の世界観や実践法の中で『そのクライアントの問題・希望に見合った要素』を抽出して、そのクライアントが抱えている現実的な苦悩や問題、迷いの解決を共感的に支援していくことに力点が置かれるようになっている。つまり、悟り(解脱)をストイックに志向していく『煩悩消尽(執着の切り捨て)』の自己実現だけに偏らずに、『物事の見方や考え方を変える』という唯識論をベースにした認知療法的な対処法が仏教カウンセリングでも用いられているのである。

posted by ESDV Words Labo at 07:00 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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