不定愁訴(indefinite complaint)と自律神経失調症・更年期障害:1
不定愁訴(indefinite complaint)とは、医学的検査をしても原因が特定できない心身の漠然とした不調であり、主観的な症状の訴えが強いという特徴を持つ。『気分が悪い・眠れない・疲れやすい・頭が痛い・胃腸に異和感がある・倦怠感がある・イライラする・不安が強い・肩がこる』などの多様な自覚症状はあるのだが、医学的検査(身体的検査)では異常所見が見られず、客観的な病名診断と治療方針の決定がしづらいのである。そのため、仮病・詐病と誤解されて患者がつらい思いをしたり、医師や家族に病的状態であることを理解して貰えても、治療法が定まりにくいという問題がある。
『不定愁訴』で出現する身体症状・精神症状の多くは、2つ以上の症状が組み合わされて出ることが多く、長期間にわたって持続的(間歇的)にそれらの症状が続くため、患者の主観的な苦しみや痛みは想像以上に大きなものになりやすい。不定愁訴は自律神経の機能やバランスに異常が起こっている『自律神経失調症』として診断されることも多いが、自律神経失調症は正式な診断名ではなく、『ストレス・身体疲労・加齢などで自律神経系のバランスが崩れているという状態』を示しているだけである。
『精神的ストレス』が関係した自律神経失調症とされる不定愁訴は、出現する症状の組み合わせが多様であり症状が出たり消えたりという間歇性の変化も見られるので、治療方針を立てるのが難しいのだが、一般的には抗不安薬・睡眠薬のマイナートランキライザーが処方されたり、日常生活や人間関係(家族関係)の悩みに共感的に傾聴しながら解決法を模索するカウンセリング(心理療法)が施行されたりしている。
クライエント中心療法や認知行動療法に基づくカウンセリングを実施している過程で、不定愁訴を生み出しているストレス要因(ストレス情況)が特定される事もある。その場合には、それらのストレス要因を取り除いたり、ストレスになっている情況・関係に対する認知(考え方)を変容させたりという『適応障害に対するカウンセリングの方法』が応用されることになる。

