不定愁訴(indefinite complaint)と自律神経失調症・更年期障害:2
この記事は、[前回の項目]の続きになります。 自律神経系は神経活動を興奮させる『交感神経』と鎮静させる『副交感神経』のバランスによって、心身のホメオスタシス(生体恒常性)を維持しているが、それらは意識的に調整することができない『不随意性の神経』である。交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れると、循環器や呼吸器、消化器などにさまざまな違和感・不調がでやすくなってくる。
“活動する神経(行動するための神経)”である交感神経は、血管を収縮させることで心拍数を増やして血圧を高め、呼吸を早めて筋肉を緊張させて、胃腸の消化を抑制する。“休養する神経(行動を抑えるための神経)”である副交感神経は、血管を弛緩(拡張)させることで心拍数を減らして血圧を下げ、呼吸をゆっくりにして筋肉を弛緩させて、胃腸の消化は促進させる。
交感神経は活動量の多くなる昼間に活発に働きやすく、副交感神経は活動量が減ってくる夜間に活発に働きやすいのだが、リラックスした安定した精神状態の時には副交感神経が優位となり、反対に興奮して怒っている時や気持ちが不安定になっている時には交感神経が優位になりやすい。
交感神経と副交感神経のバランスが継続的あるいは間歇的(間欠的)に崩れてしまうと、頭痛や腹痛(便秘・下痢)、目まい、吐き気、疲労感といった身体症状だけではなく、抑うつ感や不安感、緊張感、悲哀といった精神症状も起こりやすくなってしまうが、これらの原因が特定できず発生も不規則である心身症状をまとめて『自律神経失調症』と呼んでいる。
人間の身体・精神の健康や調子と密接に関係している自律神経系は内分泌系(生体ホルモン)と共に、大脳の奥深くにある『視床下部(Hypothalamu)』という器官によって制御されている。この視床下部は『自律神経系の中枢(生命維持機能の司令塔)』として機能しているだけでなく、満腹・空腹中枢として摂食・飲水の行動を調節したり、性ホルモンの分泌で性行動を調節したりもしている重要な器官になっている。

