不定愁訴(indefinite complaint)と自律神経失調症・更年期障害:4
この記事は、[前回の項目]の続きになります。 女性ホルモンのバランスが崩れたり、女性ホルモン(特に情緒安定を司るエストロゲンの卵胞ホルモン)の分泌が減少しやすい時期に、『更年期障害・月経不順・月経前症候群(PMS)』とも相関した不定愁訴は発生しやすくなる。女性の精神状態が不安定になったり漠然とした身体の不調が多くなったりするのは、初潮が始まる10代の思春期、妊娠・出産を経験する人(その結果としての産後うつ・マタニティーブルーなど)も増える20〜30代、あるいは閉経が近づいて女性ホルモン分泌が減ってくる更年期、子宮・卵巣の婦人科疾患に罹患した時などである。
女性の更年期とされるのは、一般的に閉経前後の10年間ほどの期間を大まかに指しており、『卵巣機能の低下・女性ホルモンの減少』によって睡眠障害や頭痛、胃腸症状、めまい、耳鳴り、イライラ、不安感、抑うつ感、肩こり、頭痛などの症状がでやすくなる。こういった女性特有の不定愁訴は、レディスクリニック(婦人科)で相談されることが多いが、診断名がつかないことも多く、診断名がつく場合には『自律神経失調症・更年期障害・抑うつ反応・ストレス性反応』などになってくる。レディスクリニックの治療では、通常、エストロゲンの女性ホルモン補充療法や抗不安薬・抗うつ薬・漢方薬(長期の体質改善を目指す治療)の薬物療法が選択されることが多い。
不定愁訴の背後には、子宮筋腫やがん、うつ病、パニック障害、不安障害など重大な身体疾患・精神疾患が潜んでいるリスクもあるので、ただの精神的な不調やストレスの影響だと簡単に考えずに、きちんとした医学的検査・問診を一通りは受けておくほうが安心である。出血が多かったりする過多月経の場合には、子宮筋腫が関係していることもあるが、子宮筋腫そのものは30歳以上の女性の20〜30%に発症するとされており、必ずしも珍しい婦人科疾患ではない。
何となく体の調子が悪いとか気分が落ち着かないとかいった『原因不明の不定愁訴』そのものも、20〜30代の健康な女性であっても、過半数に見られるというアンケート結果もあり、女性は内分泌的な要因やストレスの感じやすさなどで、平均的に男性よりも不定愁訴の訴えが起こりやすいのである。特に不定愁訴の訴えとして多いのは、『疲れやすい・だるさがある・倦怠感がある・眠れない』といった身体症状、『イライラする・憂鬱感がある・無気力になる』といった精神症状である。
現代では『夫婦共働き(ダブルインカム)』の世帯が増えているのに、フルタイムの仕事をしながら家事育児の大部分を引き受けている女性(あまり家事育児を手伝ってくれない夫)も多く、『結婚後のストレス・疲労感・責任感の増加』が不定愁訴の原因にもなっている。女性だけではなく男性でも、更年期障害による抑うつ感や自己否定感、めまいや吐き気といった不定愁訴が出てくることがあり、『仕事と家庭・育児の両立に関する悩み』は男性にとっても女性にとっても、かなり大きな精神的ストレスになってしまうものである。

