不正咬合(malocclusion)の症状・種類・治療:1
不正咬合(malocclusion,ふせいこうごう)とは簡単に言えば、『上下の歯並び(噛み合わせ)』が悪い状態の事であり、不正咬合があると正常な噛み合わせができなくなってしまう。従来、不正咬合は『歯並びが悪いという見た目』よりも『歯並びが悪い事による歯磨きのしにくさ=虫歯・歯周病になりやすく歯が長持ちしにくい健康問題』が重視されていた。しかし、近年では子供の歯並びを矯正歯科的に綺麗に矯正しようとする欧米文化の影響を受けて、『不正咬合の美容的・文化的観点からの歯列矯正』も多くなっている。
不正咬合そのものは程度が酷くなければ病気ではなく、むしろ上顎と下顎(上下の顎関節)、上下のそれぞれに対応する歯がかっちりと綺麗に合わさっている人(全く上下の歯の噛み合わせにズレがない人)のほうが少ない。しかし、上下の噛み合わせがズレている不正咬合を放置することで、『顎関節症(がくかんせつしょう,Temporomandibular joint disorder)』が発症することがある。顎関節症というのは、顎関節部や咀嚼筋などに疼痛が起こったり、異常な関節音(開口音)が鳴ったり、口が上手く開けられない開口障害(顎運動異常)が起こったりする疾患である。顎関節症は主観的苦痛及び日常生活の障害が大きいので治療が必要となる。
不正咬合の原因とされているのは、以下のような事柄である。
1.遺伝的要因……遺伝的に規定される顎・顔の大きさ、上と下の顎のバランス、歯の形や数、大きさ、顎に対して歯が大き過ぎるなどによって噛み合わせが悪くなる。口蓋裂や舌の形態の異常などの先天性奇形の要因も関係する。
2.習慣的要因……指しゃぶり(モノをしゃぶる癖)の過剰、舌の出し過ぎ、飲み込み方の異常などで噛み合わせが悪くなる。
3.疾病的要因……内分泌障害や虫歯による歯の欠損などの要因で噛み合わせが悪くなる。
4.歯自体のトラブル……不正咬合の原因と成り得る後天的な歯のトラブルには以下のようなものがある。
乳歯早期喪失……永久歯が生えてくる前に乳歯が抜けてしまう
永久歯早期萌出……性的早熟で永久歯が通常よりも早く生え出してしまう。
乳歯晩期残存……永久歯が生える時期になっても乳歯が抜け落ちずに、永久歯が正常な位置に生えづらくなる。
虫歯(齲蝕)・外傷・歯周病(ししゅうびょう)などで、永久歯が早くに抜けてしまう……これらの歯の異常が認められるケースでは、後から生えてくる歯を正常な位置に生えるようにコントロールする治療が行われたり、晩期残存歯を早めに抜歯して永久歯を正しい位置に生えるように誘導していく。

