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2006年11月20日

[心理テスト(心理検査)の妥当性(validity)・信頼性(reliability)]

心理テスト(心理検査)の妥当性(validity)・信頼性(reliability)

クライエントをより的確に理解する為に実施する心理アセスメント(psychological assessment)では、質問紙法や投影法の心理テスト(心理検査)が使われることが多い。心理アセスメントを実施する目的としては、『クライエントの精神状態や生活環境の理解・心理学的援助プランの立案・適切なカウンセリング技法の選択・カウンセリング効果の評価・心理テストの持つ改善効果』などを考えることができる。

ある心理テスト(心理検査)の評価尺度が科学的(統計的)に有意義なのか否かを判断する指標として、『妥当性(validity)・信頼性(reliability)・効率性(efficiency)』がある。また、ある心理テストを一般適用して有効な結果を導き出す為には、多くの実施事例から『標準化(standardization)』の作業を行う必要がある。

妥当性(validity)とは、心理テスト(心理測定尺度)を用いて測定(調査)しようとしている内容をきちんと測定できているかどうかの指標であり、妥当性の大きさは0〜1の実数値を取る『妥当性係数』で表現される。妥当性は、心理テスト(評価尺度)が正しく対象を評価できているか否かという『真理性』を意味する概念であり、妥当性が高ければ必ず信頼性も高くなるという特徴を持っている。妥当性が高ければ、『心理テストの結果』を用いた予測や推論が的中する確率が高くなるので、妥当性は心理テストの検定において最も重要な指標となっている。

妥当性の高い心理テストは、クライエントの性格特性・精神状態・知能水準・生活状況を正しく測定することができ、クライエントの行動・病理・人間関係に対する予測が的確であることが多いと言える。反対に、テスト結果がいつも安定しているという意味で『信頼性』が高くても、『妥当性』が低い場合には、『測定したい対象を測定できておらず、テスト結果に基づく推論が間違っている』ことになるので心理テストとしての価値は殆どないと言える。

妥当性を確認する為の作業を『妥当化』というが、妥当性は妥当化の検証手段によって『内容的妥当性・基準関連妥当性・構成概念妥当性』に分類することが出来る。この妥当性の分類は、1950年代頃のアメリカでアメリカ心理学会によって為され始めたものであるが、各妥当性の内容は次のようになっている。

1.内容的妥当性(content validity)

内容的妥当性(content validity)とは、心理テストの質問項目や問題内容が、測定しようとしている能力や状態をどの程度適切に表現できているのかを示す指標である。微分積分の問題に正しく解答する能力を測定する為には、高校数学の微分積分の学習指導要領(学習内容)に準拠した問題を提出するように、心理テストでも測定したいと思うものを適切に測定できるような種類の質問(問題)を設定しなければならない。

内容的妥当性を評価する為には、まず、複数の専門家や有識者に心理テストの質問項目を丁寧に読み込んでもらい、『測定しようとしている対象(能力・状態・問題・病理)との関連性』を数値で相対評価して貰う。その専門家の相対評価についての一致率や相関係数を算出することで、内容的妥当性を数量的に評価することが出来るのである。

内容的妥当性に関する根本的な批判として、『専門家間の判断の同意(見解の一致)』が必ずしも、現実の出来事やクライエントの状態を正しく反映しているわけではないという批判があり、内容的妥当性が高くても実証的データの裏づけが取れない場合も多くある。

2.基準関連妥当性(criterion-related validity)

基準関連妥当性(criterion-related validity)とは、心理テストの内容と無関係に、テスト結果によって『外部の事象(外的基準)』をどれだけ的確に予測(記述)できるのかという指標である。基準関連妥当性が心理テストの内容と無関係であるというのは、例えば、以下のようなことを意味している。

『抑うつ評価尺度の点数が小さいこと』と『大学進学率が高いこと』に有意な相関係数が見られる場合などには、抑うつ症状と大学進学率に本質的(合理的)な関係性がなくても、抑うつ評価尺度としての心理テストは、『大学進学率(外的基準)に対する基準関連妥当性』が高いと言えるのである。

基準関連妥当性とは、心理テストのテスト結果と、その結果から独立した『基準変数(外部変量・外的基準)としての事象』をどれだけ的確に記述して予測できるのかという概念である。心理テストの結果が、『個人の未来の状態(外部変量)』を予測する確からしさのことを『予測的妥当性(predictive validity)』と呼び、『個人の現在の状態(外部変量)』を予測する能力のことを『同時的妥当性(contemporary validity)』と呼ぶことがある。

予測的妥当性は、精神疾患の経過や予後を予測したり、対人関係の悩みを抱えるクライエントの状況の変化を推測したりするのに役立つので、心理テストにとって最も重要な指標ということが出来る。また、ある心理テストとそれに類似したテストとの相関係数のことを『並存的妥当性(concurrent validity)』という。

3.構成概念妥当性(construct validity)

構成概念妥当性(construct validity)というのは、心理テストの結果が、心理学理論で使用されている『抽象的・象徴的な構成概念』とどの程度関係しているのかという指標である。臨床心理学や性格心理学では、『妄想・幻覚・知能・内向性・外向性・分裂気質・循環気質・てんかん気質・タイプA・タイプB』など様々な仮説概念が用いられるが、心理テストの結果と直接的に観察できない仮説概念がどれくらいの相関関係を持っているのかを示す指標が構成概念妥当性なのである。

しかし、構成概念妥当性と基準関連妥当性との境界線は必ずしも明瞭ではなく、構成概念妥当性は、『心理テストの結果の意味・解釈』に影響する『あらゆる心理学的概念・根拠』を収集統合したものであり、その場合には、構成概念妥当性の下位基準として『内容的妥当性・基準関連妥当性』が包含されていることになる。つまり、構成概念妥当性は全ての妥当性の集合体と解釈することができ、あらゆる心理学的構成概念に関係する指標を含んでいると考えることが出来る。

『質問項目の内容的な適切性=内容的妥当性』『テスト結果から独立した外部基準(基準変数)の予測性=基準関連妥当性』の利点(メリット)を統合したものとして構成概念妥当性を定義すると便利だが、その場合には、主観的な判断に基づく予測に陥らないような注意が必要である。構成概念妥当性を、内容的妥当性・基準関連妥当性と切り離して考える場合には、『収束的妥当性』『弁別的妥当性』を用いて構成概念を個別的に特定していくことになる。

信頼性(reliability)とは、同一の被検者に対して、同一のテストを同じ条件下で実施した時に、同一あるいは類似のテスト結果が得られるという『一貫性・安定性』の指標である。信頼性を検証する代表的な方法としては、再テスト法があり、それ以外にも並行テスト法や折半法、α係数などで信頼性を評価することが出来る。



posted by ESDV Words Labo at 14:15 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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