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2012年07月18日

フラストレーション(frustration)と自我防衛機制(ego defense mechanism):3

フラストレーション(frustration)と自我防衛機制(ego defense mechanism):3

この記事は、[前回の項目]の続きの内容になっています。 自我防衛機制とは、自我をフラストレーションやトラウマ(心的外傷)による苦痛・不安・恐怖から守るために無意識的に発動される心の防衛的な働きであり、内的・外的な環境変化による苦痛(不安)に対して再適応を図ろうとする心の仕組みである。

フラストレーションやトラウマに対応して働く自我防衛機制には、『自分が見たいものだけを見ようとする傾向・自分が見たくないものを見ないようにしようとする傾向(見たくないものの存在を否認しようとする傾向)』がある。“不快・苦痛・自己嫌悪・嫉妬”を生み出すようなネガティブな心理的要素を無意識の領域に排除することで、『心(自我)の安定したバランス』を取り戻そうとする。

これらの無意識的な防衛機制は、適度に用いられれば自我の安定と環境(現実状況)への再適応に役立つことになるが、過剰な防衛機制を発動して現実状況や自分の本当の欲求・感情を否定し過ぎると、抑圧した欲求が心身症状に転換して『各種の神経症(現在の不安性障害・強迫性障害・身体表現化障害・恐怖性障害・うつ病など)』が発症する恐れがある。

環境変化・人間関係への再適応を図りながら自我のバランスを取り戻して、葛藤(コンフリクト)の苦痛を和らげるような認知を形成するのが『防衛機制(defense mechanism)』であるが、防衛機制には以下のように多くの種類がある。精神分析の研究において自我防衛機制の代表的な種類を分類整理して定義したのが、ジークムント・フロイトの末娘だったアンナ・フロイト(Anna Freud)である。

抑圧(repression)……不快な感情・記憶を伴うトラウマ体験や自尊心を傷つけるような出来事の記憶、社会的に承認されない反道徳的な欲求を無意識領域に抑圧して思い出せないようにする。

昇華(sublimation)……そのままの形では、社会や他者に受け容れられない本能的欲求(性欲)・攻撃的衝動を、もっと適応的な『高次の欲求(=代替的な欲求)』に置き換えて充足させようとする。昇華は自己や他者にとって最も生産的な防衛機制とされ、本来の本能的・反道徳的な欲求を社会的に評価される活動で代理的に満たすことができる。ただし、恋愛感情や親和欲求のような特定他者に対する対人欲求の場合には『昇華』の防衛機制が上手く機能しない事もある。

補償(compensation)……自分が劣等感コンプレックスを感じている分野とは『別の分野』で活動して成果を出すことで(その別の分野で他者からの賞賛・評価を受けることで)、劣等感を和らげようとする。

退行(regression)……幼児期の発達段階(固着点)へと精神的な退行をすることで、他者の支援や保護を受けやすくして、年齢相応の責任や役割を免れようとする。

投影(projection)……自分の持っている内面的な欲求(感情)や好ましくない願望を、相手の内面へと投影して、その欲求・感情がまるで相手のものであるかのように思い込むこと。投影の防衛機制が過剰になると、相手に対する妄想観念(被害妄想)や相手の内面に対する勝手な推測・決めつけなどが形成される。

同一化(identification)……優れた対象と自分とを同一視して、その対象の思考、態度、行動などを模倣して同じように振る舞うこと。

隔離(isolation)……トラウマ(心的外傷)などである観念内容(イメージ内容)に伴っている元々の苦痛な感情・記憶を切り離すことによって、その観念(イメージ)を思い出しても苦痛を感じないようにすること。

否認(denial)……対象(相手)に対して、自分の中に愛情、憎悪、悲哀、不安などの強い感情が存在することを認めないこと。

打ち消し(negation)……過去にした行為やイメージした観念に伴う情動を、それとは正反対の情動内容を伴う思考や観念、行為を用いて打ち消そうとすること。

逃避(escape)……強烈な不安や恐怖を感じる場面・状況から逃げ出そうとすること。

置き換え(replacement)……抑圧しているネガティブな情動・記憶を、社会的に認められるような目標・感情に置き換えること。

知性化(intellectualize)……ありのままの感情・欲求を直接に意識化したり表現せずに、知的な解釈や論理的思考によって『感情による不快感』をコントロールしようとする。

合理化(rationalization)……自分の行動や欲求、感情を正当化するために合理的なもっともらしい理由を考えて、『認知的不協和による不快感・自尊心の傷つき』を感じないようにすること。自分の本当の欲求や感情が充足されないというフラストレーションを『合理化』によって短期的に低下させることができる。

反動形成(reaction formation)……自分の本当の欲求や感情を抑圧して、それとは正反対の行動・態度を取ることで、自尊心や自分の正しさを守ろうとすること。好きなのに嫌いな態度を取ったり、心の中では物凄く怒っているのに表情は笑っていたりなど。自尊心・自己正当性を守ろうとする『合理化』による表層的な適応が限界に達した時に、反動形成が起こりやすくなるが、反動形成の本質は『手に入らない欲しいものに対する自己欺瞞的な反応』である。

posted by ESDV Words Labo at 01:08 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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