フリーオペラント法(free operant method)
オペラント条件づけの研究は、アメリカの心理学者E.L.ソーンダイク(Edward L.Thorndike, 1874-1949)の『試行錯誤学習の実験』から始まるが、E.L.ソーンダイクは『猫のパズルボックス実験』によって、猫がパズル箱から脱出しようとするランダムな行動が、結果的に有効な結果(紐を引っ張って扉を開ける行動)を導き出すことを発見した。
C.L.ハル(C.L.Hull, 1884-1952)やB.F.スキナー(Burrhus Frederick Skinner, 1904-1990)が定式化した『オペラント条件づけ(道具的条件づけ)』は、報酬(正の強化子)と罰(負の強化子)によって特定の行動の発生頻度を制御できるというものである。獲得すべき望ましい行動が見られた場合には、賞賛や景品のような『報酬(正の強化子)』を与えると、その望ましい行動の生起頻度が増す。反対に、消去すべき望ましくない行動が見られた場合には、否定や低評価(景品がない)のような『罰(負の強化子)』を与えると、その望ましくない行動の生起頻度が減るのである。
しかし、このオペラント条件づけの問題点(短所・欠点)として、以下のようなポイントが指摘されることがあり、この問題を解決するために『フリーオペラント法(free operant method)』という新たな方法論が考案されることになった。
1.オペラント条件づけの成果を、『実験場面(訓練場面)』から『日常場面(一般的状況)』へと般化(拡大)させにくい。
2.機械的に条件づけされた画一的・規格的な行動パターンに陥りやすい。
3.特定の条件・刺激・指示がないと、望ましい行動を生起させることができず、自発性(能動性)に欠けている。
オペラント条件づけの問題点を改善しようとする『フリーオペラント法』は、以下のような特徴や方法によって構成されている。ここで説明しているフリーオペラント法は、主に幼児期〜児童期の発達年齢にある子どもを対象にしている。
1.学習して獲得した行動が日常場面に般化(拡大)されること、画一的・規格的な行動に陥らないようにすることを目的とする。そのために、罰則や強制といった負の強化子は用いずに、肯定や励まし(賞賛)といった正の強化子を中心的に用いるようにする。
2.多種多様な行動を学習しやすくするために、『自由反応場面(被験者が自由に自発的に行動し得る場面)』を設定する。そして、そこで生起する望ましい行動を分類して特定しながら、『分化強化』を行っていく。
3.指示・命令などの『先行刺激』をできるだけ少なくして、被験者の自発性・能動性(積極性)を引き出すようにする。
4.『社会的・適応的な行動』を学習しやすくするために、日常生活でも使用されている褒め言葉やスキンシップなどを正の強化子として用いるようにする。
フリーオペラントという言葉の意味は、子どもに自由で自発的な行動をさせながら、その中から『獲得すべき望ましい行動』を分化して強化するというものである。フリーオペラント法は、対人関係における相互作用を前提にしているため、『HIROCo(Human Interaction with Response Outcome Control)』と呼ばれることもある。

