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2012年08月01日

プラグマティズム(pragmatism)2:ウィリアム・ジェイムズとジョン・デューイ

プラグマティズム(pragmatism)2:ウィリアム・ジェイムズとジョン・デューイ

プラグマティズム(実用主義・実際主義)の思想には『意味の理論についての学説』『行為を重視する思索の方法』『行為を重視した場合のその結果(効果・有用性)』という三つの見解が含まれている。プラグマティズムは、倫理的には『功利主義的』な結果の判断と深く関係しているが、論理的には『実証主義的』な客観科学と関係しており、心理的には『自然主義的』な知覚・認識と関係している。

それぞれのプラグマティストは、上述した『倫理的・論理的・心理的なプラグマティズムの側面』のいずれかを重視して研究している。例えば、パースは実証主義的な『論理面』を重視、ジェイムズは功利主義的な『倫理面』を重視、デューイやミードは自然主義的な『心理面』を重視したという風に解釈することができるが、プラグマティズムにはこのようにさまざまな研究・思索の分野及び傾向性が存在しているのである。

パースの提起したプラグマティズムを分かりやすく解釈して思想界に広めたのは、心理学者としても著名な哲学者のウィリアム・ジェイムズ(William James, 1842-1910)である。W.ジェイムズは物事の真理は『行為の有用性・効果』によって基礎づけられると説いて、『近代科学・行動主義・分析哲学』の基本的な方法論を示唆したが、1910年に『プラグマティズム:思索の古い方法につけた新しい名称』という著書を書いている。

W.ジェイムズは『プラグマティズム:思索の古い方法につけた新しい名称』において、『私たちの思考全ての根本にある理解可能な真実は、明確であるにしても微妙なものであり、それらのどれも優れたものとは断定できず、実際に確認可能な差異以外の何物にも依存していない。ある対象について私たちの思考に完全な明晰さを得るには、その対象が持っている実用的な種類の認識できる効果だけを考える必要がある。つまり、そこからどのような感覚を期待して、どのような反応を想定しなければならないかを考えるべきである』といった経験主義的な世界観を開示しており、思考・観念の明晰さの根拠を“行為が生み出す効果”に置いている。

W.ジェイムズの主張する『徹底的プラグマティズム』は、一つの対象よりも二つ以上の対象の相互の関係を行為(経験)によって明らかにしようとするものであり、更に真理は単一のものではなく複数の正しい認識が有り得るという『真理多元主義』の立場を表明していた。真理の対応理論を拒否したW.ジェイムズは、真理には『信念・世界についての事実・その他の背景的信念・信念の将来的な結果』などがあるとする真理多元論を展開した。しかし、ジェイムズは晩年になると、真理としての究極の実在について、精神的・観念的な存在でも物理的・肉体的な存在でもないとする『中立一元論』を唱えるようになった。

ジョン・デューイ(John Dewey, 1859-1952)は、パースやジェイムズのプラグマティズムの思想の影響を強く受けた哲学者だが、教育改革者・社会思想家・機能主義心理学者としても高い名声を得た人物として知られている。ジョン・デューイは道具主義的なプラグマティズムを唱導して、科学的知識や道徳的知識は人間が問題を解決するために用いる道具であるという実利的なプラグマティズムを展開した。社会思想家(教育学者)としてのジョン・デューイは、古典的自由主義における無根拠な個人主義に反対しており、社会制度・教育制度を個人に優先させて『社会・教育制度は、個人が何かを得るための手段ではなく、自由な個人を社会的に創出するための手段である』とする教育思想を述べている。

J.デューイは教育分野においては、『抽象的な知識教育』よりも『具体的な体験教育』を重視しており、『行動しつつ学ぶという経験主義的な学習スタイル』を推薦している。現代の米国の有力な哲学者(リベラリスト)であるリチャード・ローティは、ジョン・デューイを『最も敬愛するプラグマティックな哲学者』として高く評価しており、プラグマティズムの伝統とポストモダン思想の価値相対主義とを結びつける高度な思索を展開している。

この項目の内容は、『プラグマティズム(pragmatism):1』の記事の続きになっています。

posted by ESDV Words Labo at 17:28 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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