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2012年08月17日

プレグナンツの法則(Pragnanz Principle, law of pragnanz)

プレグナンツの法則(Pragnanz Principle, law of pragnanz)

ゲシュタルト心理学(Gestalt Psychology)は、部分的要素に還元できない全体性(知覚的な形態)を研究する応用心理学であり、『知覚対象(目に見える図形)』を五感の感覚要素の集合ではなく、意味を持った全体的なまとまりとして捉える。人間の視覚・聴覚は本人が意識するか意識しないかに関わらず、『一定の秩序・形態にまとまる志向性』を持っており、この生まれながらに与えられている一般的な秩序形成の傾向のことを『プレグナンツの法則(原理, Pragnanz Principal)』と呼んでいる。

自然科学の方法論である実験主義を採用したゲシュタルト心理学は、ウィルヘルム・ヴントが構想した『要素主義・構成主義の心理学』を否定するものだったが、プレグナンツの法則は誰もが実際に経験できる『要素に分割できない全体としてのまとまりを持った知覚』なのである。この全体としてのまとまりこそが、実験主義的(経験主義的)に確認される『ゲシュタルト(gestalt)』であり、ゲシュタルトを成立させる一般的な原理・法則がプレグナンツの法則と呼ばれている。

プレグナンツの法則はもっとも簡潔(単純)かつ安定した秩序を形成しようとする事から『最大秩序の法則』と呼ばれることもある。円や三角形の欠損した部分を脳内で自動的に補完して、実際には線分で書かれていない三角形が見えてしまうという『カニッツァの三角形(1965)』や図と地の区別(転換)を明確化したE.J.ルビンの『ルビンの壷』などがよく知られている。一つ一つの音に分解して聴くのではなく、複数の音が全体として滑らかに組み合わされたメロディ(旋律)として聴く時にも、音楽・メロディの秩序を形成するプレグナンツの法則が働いている。映画のフィルムでも、一つ一つの静止したコマを見るのではなく、コマが連続して全体的に動いている動画を見ることができるが、これもゲシュタルト(全体性)の一例である。

狭義のプレグナンツの法則は、仮現運動の研究で知られるマックス・ヴェルトハイマー(Max Wertheimer, 1880−1943)が提案した『知覚特性の法則』を指すことが多い。M.ヴェルトハイマーはプレグナンツの法則のことを『良い形態の法則・群化の法則(群化の要因)』と呼び、単純かつ安定した最大秩序を持つ形態は、心理的に『快の刺激(心地良い感覚)』を与えると考えていた。具体的には以下のような知覚の法則が知られている。群化の法則は、『体制化の法則』という風に呼ばれることもある。

近接の要因……近接しているもの同士はひとまとまりのグループとして知覚され、離れているもの同士はグループとして知覚されにくい。空間的な近さだけではなく、時間的な近さもまとまりを構成する。以下の○と○は、連続しているものはグループとして知覚されるが、離れているものや一つだけの●はグループとして知覚されにくい。

○●○  ○○●   ●  ○○  ●●

類同の要因……複数の図形刺激がある時には、同種のもの同士がまとまった単位として知覚されやすく、異なる種類のものはまとまりとして知覚されにくい。以下の図では、●●と○○が交互に繰り返される秩序として知覚され、○●●○が繰り返される秩序としては認識することが難しい。

○●●○○●●○○●●○○●●○

閉合の要因……[]や『』のように、互いに閉じている事が分かる形態同士(閉じた領域の形成)あるいは輪郭線で囲まれた領域は、一つのまとまった単位として知覚されやすい。

共通運命の要因(law of orgnization)……動作・運動の同時性によって形成される秩序の要因である。同時に同じ方向に動いたり、同じ周期の明滅が生じたりすることにより、 それらの図形の全体は『共通の運命』を持ったまとまりとして知覚されやすくなる。共通運命の法則は、運動や明滅があるため、一般的に近接の要因や類同の要因よりも秩序を形成する作用が強い。

良い形の要因……『図形・形態』を知覚する場合には、できるだけ簡単で分かりやすい図形を知覚しようとする傾向が見られる。その簡潔で安定した滑らかな形あるいは規則正しい形が『良い形』とされている。

良い連続の要因……滑らかな曲線(良い曲線)が連続しているような形は、一つのまとまった秩序ある形態として知覚されやすい。方向性の要因でもあり、滑らかな動きの方向性を感じさせる図形は一つのまとまった形態として認識されやすい。

客観的態度の要因……近接と類同など二つ以上のプレグナンツの要因が働いている図形では、観察者がその刺激に対してどのような客観的態度を形成するかによって、図形の見え方が変わってくる。観察者が自発的に形成した態度が、『全体的なまとまり・シンプルな秩序』の見え方を左右してしまう事がある。

posted by ESDV Words Labo at 06:19 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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