フリースクール(free school)と伝統的な学校教育制度:1
生徒の選択と価値観の自由を最大限に尊重するフリースクール(free school)は、『既存の学校教育制度(義務教育課程)』に上手く適応できない子ども達の代替的な選択肢として機能している。日本では特に不登校(登校拒否)や学校不適応、いじめ被害、非行問題などを抱えた子ども達が、安心して楽しく通学するためのオルタナティブ・スクール(代替的学校)を指してフリースクールと呼ぶ事が多い。
学校でのいじめや登校拒否の問題が注目されはじめた1980年代から、既存の学校教育に代わるフリースクールが設立され始めた。だが、フリースクールは『学校教育法1条』で定める学校ではなく学習指導要領に沿った授業をしていないので、学歴上の卒業資格(大学受験資格)などを得られないという限界もある。
そのため、フリースクールの教育目標には『学校教育(一般的な1条校の学校)への復帰』が盛り込まれている事も多い。フリースクールに通学する意義は、『学校復帰・大学受験資格の取得(高校卒業程度認定試験の合格)・仕事に役立つ資格取得・集団生活への適応(仲間関係の形成)・自尊心と自主性の回復』などにあると考えられる。
アメリカではフリースクールのフリー(free)に『自由(自由主義)』と『無料』の二つの意味があり、授業料が無料の公立学校や低所得者の子弟向けの無料の学校のことを指して、フリースクールと呼ぶこともある。政府や地方自治体が実施している主流的で制度的な学校教育(義務教育)は、『規律訓練型・学力競争型の教育システム』であり、“規範(校則)・競争(成績の比較)・友人関係(優劣関係)”などに適応できない生徒達が安全・安心な状況で通学できなくなる恐れがある。
いじめや友人関係、学業不振、非行、ストレス反応(心身症)などで学校に通学できなくなった子ども達の『選択可能な学び・遊び・集団適応の場(勉強・集団行動だけではない帰属感を持てる居場所)』としてフリースクールは期待されている部分もある。
日本のフリースクールは特に、既存の義務教育制度における人間関係や授業内容、規範意識(規則と管理)に適応しづらい子ども達が、『学校・社会・仕事』に復帰(前進)していくための心理的(認知的)なリハビリテーションの場としても位置づけられている。フリースクールとは子どもの立場を最優先して考える教育機関であり、子どもの傷ついた心理や不安な気持ちに寄り添って行われる社会的な教育活動の実践なのである。

