フリースクール(free school)と伝統的な学校教育制度:2
2012年現在では、滋賀県大津市の公立中学校で起こった『いじめ自殺問題(熾烈ないじめに対する学校と教員の無力さ・無責任さ)』などが取り沙汰されているが、義務教育の学校は“暴力を受ける生死の危険”や“トラウマ(心的外傷)を被る危険”を冒してまで通う所ではないという価値観も広まってきている。無理して既存の学校(学校教育法の1条校)に通学しても、過酷ないじめで殺されたり自殺してしまっては本末転倒であり、うつ病やPTSDのような精神疾患を発症してしまうリスクも出てくる。
本当にどうしても耐えられないような苦痛や恐怖、不安、危険が学校にあるのであれば、その生徒にとってのベストな選択は『そのまま無理をして学校に通い続ける事』ではない可能性があるという価値観を承認する親も増えてきた。激しいいじめや深刻な学校不適応、ストレス性の精神症状(過敏性腸症候群・パニック障害・過換気症候群の気管支喘息など)があったりする場合には、『保健室登校・不登校(学校に行かない)・休学』という選択をする生徒も増えているが、それ以外の新しい学校環境に適応する選択肢として『フリースクール』が存在している。
フリースクールは、EU諸国で普及する“シュタイナー教育”、生徒の議論による学校自治を重視する“デモクラティックスクール”、外国人でも通いやすい“インターナショナルスクール”、親が知識・技術・倫理(行為規範)を教授する家庭教育の有効範囲を拡張する“ホームエデュケーション(家庭学校)”などと同列の『オルタナティブ教育の一環』なのである。
フリースクールでは通常の学校教育(義務教育)において『不登校・学校不適応の原因』になりやすい各種の要素(細かい校則・出席の強制・時間割の強制・生徒間の競争や張り合い)を極力取り除くようにしているが、基本的には『強制・管理しない教育』や『生徒の主体性や自由な選択を尊重する教育』を目指すものである。
子どもの自主性・自由性・興味関心を最優先する自由主義的なフリースクールの思想は、イギリスの教育者であるA・S・ニイル(Alexander Sutherland Neill,1883年10月17日-1973年9月23日)によって提唱されたものである。A.S.ニイルは1921年にドイツのドレスデン近郊のヘルナウに、『世界で最も自由な学校』と評される“サマーヒル・スクール (Summerhill school) ”を設立したが、このサマーヒル・スクールでは『子ども達は強制よりも自由を与えられることで最もよく学べる』という教育哲学が実践された。
この記事の内容は、『フリースクール(free school)と伝統的な学校教育制度:1』の項目の続きになっています。

