フリースクール(free school)とデモクラティック・スクール:4
フリースクールでもデモクラティック・スクールでも、学校内における人間関係(生徒の友人関係)の理想は、『自由で平等な個人』が相互にその人格を信頼して尊重し合うような関係であり、他者の自由や権利を侵害しないような倫理感覚を練磨することが目的にされている。フリースクールでは、生徒の自由な選択と学校関係者(生徒+教員)のミーティングが最大限重視されているが、『自由な選択と決定に対する責任の履行(責任感の重さに耐えられる人格の涵養)』も生徒とスタッフ(教員)には求められているのである。
フリースクールは、伝統的・主流的な学校教育制度からすると、『生徒の自由性・自主性』を尊重し過ぎるという意味で異端の学校であり、反権威主義の民主的運営を実践する学校である。フリースクールの長所と魅力は『生徒の自主性に学校生活・授業計画の殆どを任せていて、強制・命令がないこと』であるが、これは同時に『計画的な学習指導ができず教科学習に偏りが出る(必修科目を学習する機会が奪われやすい)・相対的に学力や知識の水準が低くなりやすい・社会生活に必要な規範意識(理不尽への耐性)が形成されにくい』といった批判にもつながっている。
サマーヒル・スクールという形でフリースクールを初めて創設したA.S.ニイルは、『社会的な権威・政治的な権力』を懐疑して『個人の自由・自己への信頼と自信』を重視するといった世界観を持っており、その世界観は“強制からの自由”を説く古典的自由主義とも共鳴していたのである。
フリースクールに通学すると社会的な責任感・義務感が弱くなりやすいのではないかという批判に対して、A.S.ニイルは真っ向から反対している。統計的な研究計画の厳密さには問題があるが、ニイルのフリースクールの研究では、『個人の自由の承認』から生まれる『自己への信頼・自信』があれば、学業成績や授業の出席率、自己中心性の抑制(他者への思いやり)、わがままの自制という学習課題は十分に達成できるし、そのレベルは既存の権威主義的・伝統的な学校教育制度(義務教育制度)と殆ど変わらないとされている。
子どもの自由性・主体性(自主性)を最大限に尊重するフリースクールは、オルタナティブ教育(代替教育)の一種である。その種類や規模(生徒数は数人〜100人以上まで)、教育目標(活動内容)は極めて多種多様であるが、日本のフリースクールの教育目標は『学校復帰・高卒程度認定試験(大学入試への挑戦)・資格試験・通信教育のサポート学習』などに絞られやすい。
この記事の内容は、『フリースクール(free school)とA.S.ニイルのサマーヒル・スクール:3』の項目の続きになっています。

