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2012年09月12日

ハンス・アイゼンク(Hans Jurgen Eysenck)

ハンス・アイゼンク(Hans Jurgen Eysenck)

ハンス・アイゼンク(Hans Jurgen Eysenck, 1916年3月4日 - 1997年9月4日)はドイツのベルリンで生まれてイギリスで帰化した臨床心理学者であり、性格心理学・パーソナリティ分析・行動療法・心理テスト作成などの分野で精力的な研究を行った。H.アイゼンクは非常に膨大な量の論文・著作を書いた心理学者として知られ、心理学の広範な領域にわたる論文・主要著書を約350編も上梓している。

H.アイゼンクは精神分析学的な心理的力動(リビドーや超自我の内的葛藤)を重視する伝統的なパーソナリティ研究の方法論を非科学的(非実証的)だと言って批判し、性格心理学の分野に科学的研究の方法論を導入することに尽力した。性格形成について生物学主義(遺伝子重視)や環境決定論が流行っていた時代に、H.アイゼンクは早くも『遺伝的要因』と『環境的要因』の双方が作用することで、“性格(character)”という一貫性のある思考・感情・行動のパターンが規定されるという折衷論を展開した。

当時においては科学的とされた因子分析法を実施して、性格の主要次元を発見したが、H.アイゼンクはパーソナリティ構造の個人差を調べるためには、『内向性‐外向性・神経症的傾向・精神病的傾向』の3因子を操作的に定義して測定すれば良いという風に考えた。この操作的な定義は、精神疾患の病態水準を整理して性格行動パターンの基本的傾向性を知るのにも便利なので、現在でも精神症状の軽微なものを神経症的、重篤なものを精神病的という傾向はやはりある程度は残っている。

H.アイゼンクは『無意識の意識化・言語化』によって神経症(neurosis)を治療できるとするS.フロイトの精神分析を無根拠だと批判して、神経症の治療を客観的に観察可能な行動を変化させることで行おうとした。アイゼンクは神経症の症状形成の病理モデルを、『非適応的な行動パターンの学習』であるとして、それを行動療法的な技法によって『適応的な行動パターンの再学習』で治療しようとしたのであり、この業績は行動療法の先駆者としても知られる。

ハンス・アイゼンクは1975年には、モーズレー性格形成を発展・改善した『アイゼンク性格検査』を作成しており、この性格検査(性格テスト)は実験学的性格研究の成果にもなっている。

posted by ESDV Words Labo at 08:42 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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