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2006年12月09日

[交流分析用語の『汚染(contamination)・お伽噺(fairy tales)・オプション(option)』]

交流分析用語の『汚染(contamination)・お伽噺(fairy tales)・オプション(option)』

交流分析のエゴグラム交流分析の人生の基本的立場に書いたように、交流分析で個人の精神機能(心の働き方)を示す自我状態には『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・FC(自由な子ども)・AC(適応的な子ども)』の5つの行動パターンがある。この中で、社会環境や人間関係に適応する為にもっとも重要な自我状態は『A(Adult, 大人)』である。

Aと呼ばれる大人の自我状態(adult ego state)は、客観的な現実認識や『今ここで、何をすれば良いのか』という合理的な現実検討能力を司っているが、人間はAによって利害(損得)を考えた功利的判断をすることが出来る。A(大人の自我状態)では不合理な感情や欲求をコントロールして、『客観的な事実』『必然的な論理』に基づいて物事を考えるので、Aは『心のコンピュータ』と呼ばれることもある。

Aが求めるのは、客観的な事実(データ・論理・倫理・確率)に基づいた有効な判断と行動であり、Aに基づく判断や行動を取ることで『結果としての利益(適応)』を手に入れることが出来る。しかし、Aだけでは計算高い振る舞いや機械的な行動パターンに陥りやすいので、共感的な温かいコミュニケーションや主観的な満足感のある交流をする為には、P(親の自我状態)とC(子供の自我状態)も適切に機能させる必要がある。

例えば、子供が病気になった時に仕事を休まずに社会的責任を果たすことは、A(大人の自我状態)に基づく判断として正しいが、子供の苦しみや孤独感を癒して上げたいとするNP(擁護的な親の自我状態)に基づく行動を取ることでバランスの取れた人格構造を作り上げていくことが出来る。Aは、利害関係や論理的帰結を考えながら的確な損得勘定をすることが出来るが、人間の感情生活や人間関係の分野で満足感や喜びを得るためには、A・P・Cの自我状態の調和(均衡)を取らなければならない。

CPの持つ厳格な批判精神、NPの持つ保護的な優しさ、ACの持つ適応的な素直さ、FCの持つ自由奔放な快活さというものを上手くコントロールして有効に活用していくのもAの役目なのである。しかし、交流分析で『汚染(contamination)』という不均衡な状態が起こってくると、客観的な事実を無視した非合理的な行動を取ってしまったり、論理的な思考が出来ずに一方的な損をしてしまったりする。汚染(contamination)とは、大人の自我状態であるAが機能不全に陥って、親の自我状態であるP(CP, NP)や子供の自我状態であるC(AC, FC)に完全に支配された状態である。

一般的には、幼少期に形成された強固な偏見や頑固な先入観に完全に囚われてしまっている状態を『汚染』と呼んでいるが、大人の自我状態のAが汚染されている場合には、客観的な現実を直視することができず、利害を考慮した合理的な判断をすることが出来なくなる。『茶髪の若者は思慮が浅はかで社会的責任を意識していない』という偏見はCP(批判的な親)によるA(大人)の汚染であり、『自分の25歳になる子供は昔病気がちだったから、今も私が見守ってあげなくてはならない』とする子離れできない親の行き過ぎた愛情はNP(擁護的な親)によるA(大人)の汚染である。汚染とは、親の自我状態や子供の自我状態が過剰に機能することによって起こる、『主観的認知と客観的認知の混同』であり、その結果起こってくる社会的な不利益(不適応)や人間関係の問題のことである。

交流分析のお伽噺(fairy tales)とは、人生脚本(life script)の分析にナラティブ・セラピーの要素を取り入れたものであり、エリック・バーンはお伽噺(童話・民謡・伝承)で登場するキャラクターの特徴(脚本)が現実生活の中の人間にも出現することに気づいていた。人生脚本のチェックリストの中に、『あなたが子供の頃に好きだったお伽噺は何ですか?お伽噺の中で好きな登場人物や英雄・お姫様は誰ですか?いつ頃読んだお伽噺が一番記憶に残っていますか?』というような質問項目があるが、これが脚本分析で考えるお伽噺の要素となっている。

人生脚本とは、自分の人生全体の大まかな筋書き(脚本)であり漠然とした計画のことであるが、人生脚本にお伽噺の要素が入り込んでいると考える場合には『自分を主人公とした自己肯定的で将来楽観的な物語』を組み立てていくことが大切となる。お伽噺の要素は、ナラティブな夢分析を重視するユング派の心理療法にも取り入れられているが、ゲシュタルト療法的な再決断療法にも応用されることがある。

TA(交流分析)のオプション(option)とは、S.カープマンが提唱した『自我状態の選択』のことであり、相手や状況、気分、利害関係に合わせて適切かつ自由に『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・AC(適応的な子供)・FC(自由な子供)』を選択することである。

交流分析の最終的な目標の一つが、自我状態のオプションを自由自在に使いこなして、TPO(時間・場所・状況)に合わせた適応的な言動が出来るようになることである。しかし、円滑な人間関係を実現し、肯定的な自己認知を獲得し、幸福な社会生活を満喫する為には、TAのオプションを状況に合わせて適切に使いこなすだけでなく、ありのままの自分の感情や欲求を表現できる『持続的で共感的な人間関係』を作り上げていくことが必要である。



ラベル:交流分析
posted by ESDV Words Labo at 12:39 | TrackBack(0) | お:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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