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2012年10月11日

[クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学と自己実現モデル:2]

クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学と自己実現モデル:2

個人と組織の相互作用を考える組織行動論においては、『メンツや見栄を守る・支配権や優位性を維持する・自分の懲罰や責任を逃れる』などの自己防衛的な行動が、組織の問題解決や意志決定を阻害する事を発見して、組織内における以下のような『自己成長・自己実現のための概念モデル』を提示した。

アージリスの自己実現的人間のモデル

人間が未熟な状態から、自己実現的な成熟した状態にまで至る状態を7つの変化の段階で示したものである。

1.受動的から能動的……未熟な受動的状態から、成熟した能動的な状態への変化

2.依存から独立……未熟な他者に依存した状態から、成熟した自分で責任が取れる独立した状態への変化

3.単純な行動から多様な行動……未熟な単純で限定された行動から、成熟した多様で目的達成的な行動への変化

4.浅い興味から深い興味……浅く弱い興味から、深く強い興味への変化

5.短期的な展望から長期的な展望……未熟な短期的で無計画な視点から、過去・未来までを含めた長期的で計画的な視点への変化

6.従属的から対等の立場・優越的……未熟な他者に従属した状態から、自己を確立した対等な立場(あるいは他者に対する優越的指導的立場)への変化

7.自己認識の欠如から自己統制……主観的な自己認識から、客観的な自己統制への変化

アージリスは旧来的な組織・企業には、人材を全人的かつ職能的に教育するという機能・意識が欠けているとして、人間(従業員)を教育・啓発せずにただ指示に従うだけの未熟な状態に留めようとする組織のあり方を強く批判した。命令・指示に従う受動性、繰り返される単純作業、浅い知識や興味に留まる仕事、短期だけの仕事、従属的な人間関係などの要因によって、組織に所属している人間は成長する機会を失って未熟な状態に留まってしまいやすくなるのである。

C.アージリスは人材の個人的要因の問題が重要なのではなく、人材を教育することができずその潜在能力を活用しきれない組織の側に問題があると指摘して、職場環境と教育研修制度、上司・部下の人間関係の力学を変化させることによって、企業も人材も共に成長する事ができると説いた。クリス・アージリスはドナルド・ショーンと共同で書いた共著『組織学習(Organizational Learning)』を1978年に出版しており、その著書の中で経験から上手く学ぶ事ができない人間がどのように学習を進めるべきかという視点から、『シングルループ学習・ダブルループ学習』の概念を提唱している。

アージリスは組織の意思決定や行動の基盤として『人間の思考』の重要性を強調したが、シングルループ学習というのは『問題の単純な原因』に対して直接的な対応を取るタイプの学習である。営業利益が下がっているから、電気をこまめに消したり非正規雇用を増やしたりしてコスト削減を図るというような対応がシングルループ学習の例になる。

ダブルループ学習というのは、シングルループ学習よりももう一歩踏み込んだ複雑な学習過程であり、『問題の原因になっている条件設定そのもの』を考慮して、条件設定や物事の考え方のフレームワークを変化させることで根本的な問題解決を図ろうとするものである。営業利益の減少に対して単純なコスト削減をするのではなく、どうすれば付加価値を高めて利益率の高い商品開発やビジネスができるのかを考えるのがダブルループ学習の事例になるだろう。アージリスはダブルループ学習は前提となっている変数(条件設定)を、その後に取った行動を元にして検証し変えることによって、『事業計画と実際の結果の不一致』がその行動の検証がフィードバックされた形で修正された時に起こるものだと述べている。

この項目は、『クリス・アージリスの組織行動学:1』の記事の続きの内容になっています。



posted by ESDV Words Labo at 06:08 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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