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2012年10月27日

[分析的心理劇(analytic psychodrama)]

分析的心理劇(analytic psychodrama)

心理的・感情的な苦悩をテーマにした演劇(演技)を用いる心理療法として、ヤコブ・レヴィ・モレノ『サイコドラマ(心理劇,psychodrama)』がある。サイコドラマ(心理劇)とは、自分のありのままの感情や本当に伝えたい思いをロールプレイング(役割行動の演技)で表現する事によって、カタルシス(感情浄化)やアウェアネス(気づき)といったカウンセリング効果を得ようとするものである。

分析的心理劇(analytic psychodrama)とは、精神分析の理念やパーソナリティを応用した“思春期以前の児童(子ども)”を対象にしたサイコドラマ(心理劇)である。フランスの精神科医であるD.アンジュー(D.Anzieu)が、『体験的・情感的な児童精神療法』の一環としてこの分析的心理劇を創始した。分析的心理劇で採用されている精神分析的な発想というのは、『仮想的な物語世界』で発生したり変化したりする心理的力動(エス・自我・超自我のせめぎ合い)を考慮したサイコドラマを展開するという事である。

分析的心理劇に参加する子ども達(クライアントの子ども達)は、自分に割り当てられた役割を演技する中で、日常生活や友人関係の中で抑圧されている『自分本来の感情・考え』を解放しやすくなる。分析的心理劇を実施することで、子ども達は『ありのままの自然体の自己』を取り戻すきっかけを掴みやすくなり、友達や先生、他者とのより望ましい関係の作り方や維持の仕方に気づきやすくもなるのである。分析的心理劇は、以下のように心理療法としての構造(参加人数・話題設定・物語の解釈など)が決められた『構造化心理面接(structured interview)』としての特徴を持っている。

分析的心理劇を構成する参加者は、『男性のカウンセラー(セラピスト)・女性のカウンセラー・演劇の主役を演じる児童(クライエント)』の3名が基本であり、必要や場合に応じて、それに若干のカウンセラーや他の児童(クライエント)が加わる事もある。主役を演じる児童(クライエント)に、自分が演じたいキャラクターに基づく簡単な物語と配役をまず作らせてみて、その物語の台本(作文的なもので良い)をカウンセラー2名とクライエントの児童でできるだけ感情を込めて演じていくというのが、分析的心理劇のあらましである。

クライエントの児童が作成した物語がどのようなテーマや気持ちを扱っているか、その物語の世界の中で児童がどのような役割を演じたいと思っているか、自分を他者・世界に対してどのような存在として位置づけているのかなどを、カウンセラーは精神分析的な理論や性格構造も参照しながら分析していくことになる。何回かの分析的心理劇を繰り返し実施していく中で、『類似した物語の主題・情感』が浮かび上がってくることがある。類似したテーマや感情の反復が見られる場合には、そのクライエントの子どもが置かれている『個別的な生活状況(親子関係・友達関係・学校生活・適応水準)』に合わせた支持的カウンセリングも同時に実施することが多い。



posted by ESDV Words Labo at 19:24 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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