併存的妥当性(concurrent validity)
心理臨床活動のプロセスで実施される事のある心理アセスメントは、クライエントの心理状態や生活状況、無意識的な力動、価値観などをできるだけ正確に推測して分析するために行われる。心理アセスメントのための心理検査(心理テスト)は、『信頼性(reliability)』と『妥当性(validity)』が担保されていなければならない。
心理テストの信頼性(reliability)とは、同じ心理テストを同じ被検者に対して実施した場合に、前回と同じような結果がきちんと再現されるという事である。信頼性の高い心理テストでは、繰り返し同じ被検者に対して心理テストを実施しても、極端に今までの心理テストと異なる結果が出るという事がなく、その結果が安定的に再現されやすいのである。反対に、信頼性の低い心理テストでは、心理テストをする度に毎回異なる結果が出たりするので、その結果に信頼が置けないという問題が生じてくるのである。
心理テストの妥当性(validity)とは、その心理テストが測定しようとしている心理状態や性格傾向、価値観などがきちんとその目的通りに測定できているかどうかという事である。妥当性には、測定しようとしている対象とテストの内容が合っているかどうかの『内容的妥当性』、他の心理テストや診断結果との整合性があるかどうかの『基準関連妥当性』、心理テストの構成要件が測定しようとする対象と実際に相関しているかどうかの『構成的妥当性』がある。
ここでは、基準関連妥当性のうちの一つである『併存的妥当性(concurrent validity)』について説明する。併存的妥当性とは、心理テストと精神医学的な診断(問診)との二つ以上の有意な根拠によって証明される妥当性という意味である。質問紙法あるいは投影法の心理テストを実施して、そのテストの結果が、精神科医の診断結果あるいはカウンセラーのクライエントの状態に対する見立てと一致していれば『併存的妥当性は高い』と判定されるのである。
二つの異なる種類の心理テスト(心理測定尺度)を用いて、クライエントの心理状態や性格傾向を測定した場合に、その結果の一致度が高い時にもこれらの心理テストの併存的妥当性は高いということができる。特に、時間的コストのかかる『心理テストA』と時間的コストのかからない『心理テストB』の結果が、何度繰り返してもほとんど一致しているような場合には、その併存的妥当性の高さを利用して、心理テストの全体をより短時間で施行することが可能な『心理テストB』に置き換えることができる。

