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2006年12月22日

[外因性精神病(exogenous psychosis)とうつ病の病因論的な分類]

外因性精神病(exogenous psychosis)とうつ病の病因論的な分類

各種の精神疾患は、遺伝要因・体質要因・気質素因・心理社会的ストレス・中枢神経系の損傷・対人関係のトラブル・過去のトラウマなど実に様々な原因が絡み合って発症する。精神病理学的に精神疾患の発症原因を考えると、主に『外因性精神疾患・内因性精神疾患・心因性精神疾患』に分類することが出来る。原因が明瞭でない内因性精神病(内因性精神疾患)の代表として、統合失調症・双極性障害(躁鬱病)・てんかんの三大内因性精神病が上げられる。こういった原因論的な精神の病気の分類法を採用した人物としては、うつ病の薬理学研究で業績を上げたイギリスの精神科医キールホルツがよく知られている。

キールホルツは気分障害(うつ病)を、その原因となった事象を元に次の3つのタイプに分類した。遺伝要因や体質など生得的な内部的原因によって発症するものを『内因性うつ病』、親密な家族や知人を失う喪失体験や忙しい職場環境でのストレスなど心理的原因によって発症するものを『心因性うつ病』、頭部外傷や脳梗塞、くも膜下出血など身体的原因(外部的原因)によって発症するものを『外因性うつ病』とした。

原因不明の内因性うつ病というのは、『遺伝・気質・体質・器質』など内部的な問題によって、抑うつや不安、無気力、希死念慮などのうつ病が発症するものである。内因性精神病について現段階ではっきりと言えるのは、身体内部の何らかの原因によって気分・感情・意欲などを司る脳機能の障害が起こるということだけである。心因性うつ病は心理的原因や情緒的ストレスの種類によって、更に『疲憊性うつ病・反応性うつ病・神経症性うつ病』へと分類される。

疲憊性うつ病とは、対人関係に伴う葛藤や職業上の悩みなど情緒的なストレスが長期間継続することで発症するうつ病で、長く続く不快で苦痛なストレス状況によって精神が完全に疲憊してしまうのである。疲憊性うつ病は、燃え尽き症候群の症状形成過程と近似している部分があるが、身体的な過労も加味する燃え尽き症候群と比較すると、疲憊性うつ病では精神的な疲労感のほうが重視される。反応性うつ病とは、近親者との死別や大規模な自然災害、犯罪の被害など強烈な精神的ダメージへの不可逆的な反応として発病するうつ病である。

神経症性うつ病というのは、古典的なフロイトの精神分析療法で見られた心理的原因によってふさぎ込むタイプのうつ病である。神経症性うつ病では、抑圧された無意識的欲求が『自罰的な怒り(攻撃性)』へと転換され、内面的に自分を攻撃することで精神的な活動性の停滞が起こると考えられたが、現在の科学的な精神医学では、神経症性うつ病の原因となる『内面的な怒り(自罰的な攻撃衝動)』の存在について懐疑的に見られている。

外因性精神病(exogenous psychosis)とは、簡単に言えば、身体的原因によって発症する精神病で、一般的に脳の器質や機能が侵襲される疾患(外傷)によって発病する。代表的な外因性精神病の原因としては、感染症による脳炎、頭部外傷、脳梗塞、薬物中毒、脳腫瘍、代謝障害などがある。外因性精神病(外因性精神疾患)は、更に『器質精神病・症状精神病・中毒精神病』に分類することが出来る。

器質精神病(organic psychosis)とは、脳の器質が直接的に破壊されることで起こる精神病であり、その原因としては、ウイルスによる脳炎、梅毒による進行性麻痺、脳梗塞、脳腫瘍、頭部外傷、脳の動脈硬化などが考えられる。老年期(稀に青年期〜壮年期)に脳の器質的な病変と萎縮によって起こるアルツハイマー型認知症や老年性認知症、脳血管性認知症も器質精神病に含められる。

症状精神病(symptomatic psychosis)とは、脳器官以外の身体疾患(一次的な疾患)が原因となって二次的に発症する精神疾患の総称である。その原因となる身体疾患には、インフルエンザなどウイルスの急性感染症(重篤な肺炎)、甲状腺機能亢進症(甲状腺機能低下症)やクッシング症候群、アジソン病など内分泌系の障害、栄養を摂取し排泄する過程に問題が起こる代謝障害がある。

中毒精神病(addictive psychosis)とは、アルコール・覚醒剤・シンナー・麻薬・向精神薬などの脳機能に作用を与える薬物を摂取することで発症する精神病のことである。中毒精神病は、自然に発現する内部的な原因によって起こる器質精神病や症状精神病とは異なり、中枢神経系(脳)を障害する薬物を外部から摂取しているうちに、精神依存・身体依存を起こしやめられなくなった嗜癖状態で発病する精神病である。



posted by ESDV Words Labo at 14:25 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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