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2012年11月12日

[行動療法のベースライン(baseline)とトリートメント(treatment)]

行動療法のベースライン(baseline)とトリートメント(treatment)

目に見えない内面的な心理(精神内界のプロセス)ではなくて、外部から観察可能な行動を変容させようとするのが『行動療法(behavioural)』である。具体的には、そのクライエントにとって望ましい『適応的な行動』を新たに学習して習得(強化)したり、望ましくない『非適応的な行動』を段階的に消去したりすることによって、行動療法は治療的な効果を発揮することになる。

行動療法は理論的な根拠を踏まえて実施されるのだが、『行動の学習・消去』を意識的に行うという部分では、『学習心理学(Learning Psychology)』とも深い関係を持った心理療法の技法である。

代表的な行動療法家には、自分に産まれたばかりの赤ちゃんを与えてくれれば、どんな職業・性格の人間にでも条件づけを用いて育ててみせると豪語したジョン・ワトソン、徹底的行動主義を標榜して人間の行動を正負の強化子でコントロールできるとしたB.F.スキナー、外部の刺激をどのように認知するかで行動が決まるとする“S-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)”を提唱したC.L.ハルなどがいる。

段階的に苦手な刺激(状況)に暴露させていくことで症状や問題を軽減できるとする『系統的脱感作法』を開発した南アフリカの精神科医J.ウォルピも行動療法家である。そして、行動療法の基本原理は『報酬と罰によって行動を強化するオペラント条件づけの応用』『恐怖・苦手を感じる刺激状況への暴露(エクスポージャー)による馴化・慣れ』としてまとめることができるだろう。行動療法では精神疾患の治療や問題行動の修正のための技法的な介入・調整をすることを『トリートメント(treatment)』という。

行動療法ではクライエントの問題解決に向かって実践的・治療的な介入をすることを『トリートメント(treatment)』というが、トリートメントをまだしていない初期の状態や行動療法を実施してから時間が経過した状況のことを『ベースライン(baseline)』と呼ぶ。行動療法ではその治療効果を客観的に測定するために、『トリートメント期(介入期)』と『ベースライン期(日常期)』における問題行動や望ましい行動の出現頻度を比較して検討するのである。

行動療法のトリートメントをする前とした後の何回かのセッション(心理面接)を『ベースライン期』と見なすことがある。ベースライン期に問題行動が減っていたり適応的な行動が増えていたりすれば、その前に実施した行動療法のトリートメントに『臨床的・具体的な効果』があると判断することができる。反対に、問題行動が持続していたり適応的な行動が全く生起していなければ、それまでの行動療法のトリートメントには効果がないということになり、そのやり方(介入方法)を変更していく必要がある。



posted by ESDV Words Labo at 06:44 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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