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2012年12月13日

[フレデリック・アレン(Frederick H. Allen)]

フレデリック・アレン(Frederick H. Allen)

アメリカの精神科医であり心理療法(サイコセラピー)にも力を入れていたフレデリック・アレン(Frederick H. Allen,1890-1964)は、“対人関係のプロセス”と“精神病理の発症・経過・治療”との相関に注目した研究を行った。現代でも実施されている『対人関係療法』の嚆矢となる研究・臨床であり、患者の置かれている人間関係の状況や交流を改善して対人スキルを高めることができれば、多くの心理的問題や精神症状が解決に向かう事を明らかにした。

当時のアメリカの精神医学会は、ジークムント・フロイトの精神分析をはじめとする力動的心理学(力動精神医学)の影響を強く受けていたが、ここでいう『力動(dynamism)』とはエスや自我、超自我などの精神内界にある心理的装置(精神機能)のエネルギーが相互にぶつかり合って葛藤しているという意味である。一般的に、力動的心理学や力動精神医学と呼ぶ場合には『精神分析の理論的影響を受けた心理学・精神医学』という定義になる。

この力動という精神分析の概念には、『無意識による決定論』『本能(エス)と理性(自我)、道徳(超自我)の葛藤による行動の規定』ということが含意されている。アメリカの心理療法家であるフレデリック・H・アレンは、特に精神分析家のオットー・ランクやJ.J.タフトからの薫陶を受けており、力動的心理学に対人関係を改善するための方法や理論を付け加えることで、より実用的でわかりやすい精神療法(サイコセラピー)を確立しようとした。

フレデリック・アレンやO.ランクらは『関係療法(relationship therapy)』という力動的な精神療法を提唱しており、日常的な人間関係で取り交わされる会話や他者との感情交流のあり方を重視することで、患者の内的世界の苦悩や葛藤により共感的に寄り添おうとした。F.アレンはアメリカにおける児童福祉の拡充や子どもの発達支援にも貢献した人物であり、1942年には彼の代表的著作である『問題児の心理療法(Psychotherapy with Children, 1942)』を発行している。

精神分析の歴史でも、精神的な問題を抱えた子どもを対象にした『児童臨床・児童精神分析』の分野で活躍した人物として、アンナ・フロイトやメラニー・クラインドナルド・ウッド・ウィニコットなどがいる。フレデリック・アレンは、それらの精神分析に関連した人よりも『行政的支援・制度的保護・政治的改革』に近い形で子ども達の福祉を増進するための活動に取り組んだ。

1890年にアメリカのカリフォルニア州サンノゼで生まれたF.アレンは、1925年から1956年に至るまでの長い期間にわたってフィラデルフィア児童相談所の所長の役職を勤め、1940年から1956年まではペンシルバニア大学医学部の精神科教授を兼任していた。



posted by ESDV Words Labo at 20:02 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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