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2012年12月13日

[レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky):3]

レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky):3

L.ヴィゴツキーの知識や興味関心は心理学の分野だけに留まるものではなく、モスクワ大学で法学を専攻して学びながら、同時並行でシャニャフスキー人民大学において歴史・哲学・社会科学・文学芸術などを学んだとされる。

近代ヨーロッパの百科全書学派のような広範多岐の知見を身につけたヴィゴツキーは、1917年のロシア革命の発生後にモスクワ大学法学科とシャニャフスキー人民大学歴史・哲学科を同時に卒業した。そして、晩年に近づくにつれて心理学・言語学をはじめとする自分の学術的な課題を、マルクス主義的な『史的唯物論・弁証法的方法論』と結びつけていったようである。

1918年には、生まれ育ったホメリの地に帰ってきて、師範学校で文学・心理学を教える教師として働き始め、演劇学校でも美学・美術史を担当して精力的に講義を行っている。ゴメルスキー国民教育部の演劇課では主任を務めており、心理学を教えていた師範学校では科学的・実験的に人間の心理を解明することを目指して『心理学実験室』を設置している。

ホメリの師範学校では学生の効果的な教育方法や心理学的な根拠のある学習法などについても講義しており、こういった一連の講義の内容は『教育心理学(1926年)』という著作によってまとめられる事になった。

当時の心理学では、学生の教育や講義(授業)のやり方、学習のメカニズムを専門的なテーマにした『教育心理学』は十分に独立した分野にはなっておらず、ヴィゴツキーは教育心理学の分野でも先駆者としての重要な役割を果たすことになるのである。1918年から1920年には『世紀と日々』と呼ぶ出版事業も手がけるようになり、ソ連の紙不足によってすぐに出版事業は廃業してしまうものの、何とか二冊の本の出版に漕ぎ着けている。

教育心理学(教育効果)と言語発達論(発達心理学)との関係について、ヴィゴツキーは『思考と言語(1934)』の論文の中で述べており、そこでは大人の子どもに対する適切な教育が、子どもの発達を主導して促進するという風に考えられている。

その効果的な教育を説明するための概念が、『最近接領域・最近接発達領域(ZPD:Zone of Proximal Development)』と呼ばれるものである。子どもの問題解決能力には『a=一人でできる水準』『b=みんなと協同すればできる水準』とがあり、一般的には“a”よりも“b”の領域のほうが広くなり、“b-aの差”で示される領域のことを『最近接領域(ZPD)』と呼んでいる。

大人(親)や教師は子どもの最近接領域(ZPD)に働きかけて、一人では分からない問題を分かるように支援して上げることで『教育の効果』が高まることになる。ヴィゴツキーのいう教育(education)とは、『子どもが一人では解決できない問題・分からない知識』を大人が教えて支援して上げる行為であり、言語的・態度的な相互作用によって子どもの概念的・知識的理解をより高度(高次)なものへと引き上げていくことである。

ヴィゴツキーは人間の『能力(ability)』についても、発達課題を達成した段階でのスタティックな精神機能が能力とイコールではないと考えた。『他者の指示・協力』を得ながら社会的に問題が解決できる力(他者と協調的に問題解決に取り組める力)のことを指して『能力』と呼んだのである。

この記事の内容は、『レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky):2』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 23:39 | TrackBack(0) | う:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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