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2013年01月06日

[論理療法・認知療法の弁別的傾聴(discriminative-active listening)]

論理療法・認知療法の弁別的傾聴(discriminative-active listening)

アルバート・エリスの考案した論理療法(rational therapy)やアーロン・ベックが創始した認知療法(cognitive therapy)でも、カール・ロジャーズが定義したカウンセラーの基本的態度である『徹底的な傾聴・共感的な理解・無条件の肯定的受容』の態度は重視されている。だが、C.ロジャーズのカウンセリングとの大きな違いとして『弁別的傾聴(discriminative-active listening)』がある。

カール・ロジャーズのカウンセリングにおける傾聴では、クライエントの話したいことを否定したり批判したりせずにありのままに受け容れながら聴くという『共感性・受動性(受容性)』がベースになっているが、A.エリスの論理療法やA.ベックの認知療法ではクライエントの話の内容を構造的に弁別する『弁別的傾聴』を行うことになる。弁別的傾聴の目的は、精神症状や身体症状、心理的問題が発生している『認知的・論理的な原因』を明らかにすることであり、クライエントに『物事の考え方・受け止め方』と『客観的な現実・出来事』とを弁別(識別)させるような対話をしていく。

論理療法ではアルバート・エリスの『ABC理論』にあるように、“A(Activating Event,客観的な出来事)”“B(Belief,物事の考え方の信念)”がどのように受け止めて解釈するのかによって、“C(Consequence,結果としての問題・症状・感情)”が生まれると考える。アーロン・ベックの認知療法でも、自動的に頭の中に浮かび上がってくる“自動思考(物事の考え方としての認知)”によって“客観的な出来事”が解釈されることによって、抑うつ感や自己嫌悪、不安感、緊張感といった“ネガティブな感情”が生まれてくるという風に考える。

論理療法や認知療法では『ワークシート(思考行動記録表)』を毎日つけながら、カウンセリングの構造化された心理面接を進めていくが、ここで重要なのはワークシートに記載する『客観的な出来事』『思考・認知の内容』を的確に弁別(識別)して記録することである。論理療法・認知療法の理論的な前提は、嫌な出来事や不快な人間関係が起こったから気分が悪化したり抑うつ感(絶望感)が起こるのではなく、その嫌な出来事や不快な人間関係を、ネガティブな方向に認知することによって『気分の落ち込み・抑うつ感・絶望感』が強まっていくというものである。

弁別的傾聴とは論理療法(認知療法)の指示療法の側面を象徴しているものであり、効果的なワークシートを作成していくために、クライエントに対して『指示的かつ誘導的な質問』をしていくという事を意味している。

つまり、クライエントが『昨日、会社で仕事が上手くいかなかったから自分には価値がないと思った』という発言に対して、『ちょっと待ってください。認知療法では客観的な出来事と物事の考え方である認知を区別して考えるようになっているので、まず初めに昨日、会社で何が起こったのかという客観的な事実だけを話してください。その後で、その出来事に対してどのような考えが頭に浮かんだのかを教えてください。』という形式で指示的に質問することになる。

認知療法におけるアクティブな弁別的傾聴の最終的な目的は、クライエントに『客観的な事実・非適応的な認知・適応的な認知・その結果としての感情や問題』の違いをしっかりと弁別して貰うことである。その上で更に、自分の物事の捉え方によって本当に『自分の気分・感情・意欲』が良い方向へと変わるのだという事を実感して貰う事が大切なのである。



posted by ESDV Words Labo at 12:29 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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