ウェブとブログの検索

カスタム検索





2013年01月06日

[弁別学習(discrimination learning)と弁別訓練(discrimination training):1]

弁別学習(discrimination learning)と弁別訓練(discrimination training):1

弁別学習(discrimination learning)とは、“刺激A”と“刺激B”との間にある意味的・効果的な違いを識別するための学習である。刺激Aと刺激Bのように複数の類似した刺激がある場合に、それぞれの違いを見極めて識別することを弁別学習というが、この学習はあらゆる状況・場面で半ば自動的に行われているものでもある。

子どもが『平仮名・カタカナ』のそれぞれの文字を異なる意味・音を持つ個別の文字として学習していくのも弁別学習である。そして、ある刺激とそれ以外の刺激を区別して理解していく弁別学習は、『人間の知能』の基本的機能として働いている。

パソコンのキーボードを叩いて文字や記号を入力する作業も、それぞれのキーに割り当てられている文字や記号を識別していくという弁別学習を必要とするものである。スマートフォンのタッチパネルでのフリック入力でも、画面をタッチして上下左右に指を滑らして文字を入力するために、『上下左右に割り当てられているそれぞれの文字(タッチがあ、左はい、上はう、右はえ、下はお)』を識別して弁別学習を進めていく必要がある。人間の知能の多くは言語能力に依拠しているが、人間の使用する言語の最大の特徴は『事物の分節作用(カテゴリーに分類して整理する作用)』であり、事物や現象の分節というのは弁別学習に支えられているのである。

S.フロイトはクライエントの精神分析において、クライエントが分析家にぶつけてくる『転移感情』を正しく分析して解釈してあげることが大切だと主張した。過去の重要な人間関係(親子関係)にまつわる転移感情の解釈をすることは、『現在と過去の違いを理解するためのクライエントの弁別学習』につながっていき、不適切な感情表現や自己欺瞞を解消しやすくなるのである。

転移感情(transference affection)とは本来、その激しい感情を向けるべきだった過去の重要な相手を見失ってしまい、現在の親しい相手にその激しい感情を向け変えること(自分の本当の感情のあり方を誤魔化すこと)で自我を安定させるという防衛機制である。

精神分析では『転移分析(transference analysis)』を実施して的確な解釈をクライエントに与えることで、『過去の記憶と現在の状況の弁別学習』を進めていく。転移分析で混乱した感情を解きほぐして、現在の生活や他者により上手く適応できるようにしていく事が目的になるが、その際に心理機序としてポイントになるのが過去と現在の出来事をきちんと識別する弁別学習なのである。



posted by ESDV Words Labo at 12:32 | TrackBack(0) | へ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。