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2007年01月16日

[外的照合枠・外的準拠枠(external frame of reference)][外的統制型のパーソナリティ(extrinsic control type)]

外的照合枠・外的思考の枠組み(external frame of reference)と心理療法の技法

外的照合枠・外的思考の枠組み(external frame of reference)とは、客観的な第三者としての立場で、“対象の外部”から事象・心理を理解しようとする認知の枠組みのことである。外的照合枠(外的準拠枠)とは、観察/分析の対象となっている人物の内面を推測したり共感したりせずに、自分の内的照合枠(内的準拠枠)を通して出来るだけ『客観的な観察/分析』をして真実を明らかにしようとする思考(認識)の枠組みである。

フロイトが創始した正統派の精神分析療法は、『分析者の中立性』『禁欲原則』を重視して、患者のイントラパーソナル(内面的)な自我構造を分析しようとするが、精神分析の分析家の認知スキーマは基本的に『外的思考の枠組み(外的照合枠)』に依拠している。外的照合枠に支えられた『分析者の中立性』に違背して、患者の転移感情への共感を強めたり抑圧された無意識的願望の充足を促進したりすると、自分自身が激しい逆転移に呑み込まれたり、患者の退行や行動化を強める恐れがある。

その為、精神分析を実施する分析家(カウンセラー)は、クライエントの成育歴や抑圧した幼児期の葛藤(エディプス・コンプレックス)を冷静に分析して客観的な解釈を行える『外的思考の枠組み』を利用するのである。精神分析でもクライエントの内面心理に全く共感しないわけではないが、その共感感情や同情的な支持を積極的に言語で表明することは少ない。『外的照合枠(外的準拠枠)』を使った対象(事物・現象)の理解・解釈とは、主体と客体を分節する科学的世界観を前提とする科学者の認知スキーマと同一のものであり、相手の気持ちや判断によって自分の観察結果が影響を受けることはない。

外的照合枠の対立概念である『内的照合枠(内的思考の枠組み, internal frame of reference)』とは、カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)に代表される一般的なカウンセリングに用いられる認知(思考)の枠組みである。内的照合枠というのは主観的な認知スキーマ(思考の枠組み)のことであり、支持的カウンセリングでは徹底的な傾聴をもとに『相手の内面心理』を推測・共感しながら状況を理解しようとする。そういったカウンセリングの心理面接では、『客観的な真実』よりも『主観的な了解』が重視されているのであり、クライエントは『自分の内的照合枠(主観的認知)』に従って問題状況を共感的に理解してくれていると感じることになる。

人間(主体)が対象(客体)を認識する場合には、必然的に『内的思考の枠組み(内的照合枠)』を用いることになるが、科学者的な『事象の客観的理解』を目指す場合には主観的要素を極力排除した『外的思考の枠組み(外的照合枠)』を改めて用いることになる。しかし、クライエントとの間に相互的な信頼関係(ラポール)を打ち立てる必要があるカウンセリングでは、『私のことを本当によく分かってくれる・私の意見を批判せずにしっかりと私の感情を受け止めてくれている』と感じてもらうことが改善効果につながる。その為、『カウンセラーの内的思考の枠組み(内的照合枠)』を使って『クライエントの内的思考の枠組み』を共感的に類推することから心理相談は始まることが多くなる。お互いのイントラパーソナルな心的過程を推測・共感しながら、カウンセラーとクライエントの感情(気分)の波長や価値観のバランスが調和した時に大きなカウンセリング効果(感情のカタルシスや自己洞察)が生まれることになる。

外的統制型のパーソナリティ(extrinsic control type)

自分の性格形成過程や感情・気分・判断のコントロールが、『外部的な要因』によって統制されていると感じている人のパーソナリティを、外的統制型のパーソナリティ(extrinsic control type)と呼ぶ。自分自身の能力・才能・努力の可能性を信じることが出来ないので、自己否定的かつ将来悲観的な特徴を持ち、自分の力では困難な問題を解決できず、苦痛な状況や不適応な行動パターンを改善することもできないと考えている。

『両親の養育態度が悪かったから、自分は他人と良好な人間関係が持てない』というように、「外部の親」に現在の自分の性格傾向の原因を求めたり、『正社員を募集している会社は確かにあるが、給与待遇と労働条件が悪くて福利厚生が整っていないので、正社員になるつもりはない』というように、外部の「職場環境」に現在の自分の仕事への無気力さの原因を求めたりする。自分の原因帰属や状況判断の基準が、いつも、『自分の外部にある要素(条件)』にあるので、内発的動機付け(モチベーション)が高まりにくく、積極的で能動的な行動も殆ど見られない。

ある種の運命論者(決定論者)のような厭世観(脱俗観・隠棲観)を漂わせていることもあり、『外部的要因によって現在の性格・問題・状況・気分が決定されている』という受動的な決定論の信念を強くもっていることが多い。外部要因に自分の全てが統制されているというこのパーソナリティの特徴は、『受動的・依存的・無気力・責任転嫁傾向・諦観』であり、外的統制型のパーソナリティを矯正するには、段階的に内発的動機付けを高めるような指示(課題)を出して、『努力やトレーニングをすれば自分で良い結果を出せる』という自信を強めることが大切である。自分の性格傾向や問題内容は、外的統制と内的統制のバランスを適切に調整することで、ある程度自分の思い通りにコントロールしていくことが出来るのである。



posted by ESDV Words Labo at 03:32 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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