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2007年01月22日

[外発的動機づけ(extrinsic motivation)と内発的動機づけ(internal motivation)]

外発的動機づけ(extrinsic motivation)と内発的動機づけ(internal motivation)

外部要因(extrinsic factor)によってある行動や態度が動機づけられることを、外発的動機づけ(extrinsic motivation)と呼び、内部要因(internal factor)によってある行動や態度が動機づけられることを内発的動機づけ(internal motivation)と呼ぶ。外発的動機づけと内発的動機づけの違いは、何によって『やる気・意欲・興味・動機』を引き出されるのかという要因の違いだが、人間のモチベーション(動機づけ)の原点は『内的な生理学的欲求・文化精神的欲求・要求水準・達成目標』を満たすことにあるといってよい。

人間の行動は何らかの欲求や要求を充足する為に起こってくるという意味では、外発的動機づけと内発的動機づけは性質を同じくする。しかし、その欲求(要求)の対象が『外部の報酬』にあれば外発的動機づけとなり、欲求(要求)の対象が『内部の価値観(興味関心)』にあれば内発的動機づけとなる。ワトソンやハル、スキナーに代表される行動主義心理学で考えると、外発的動機づけは、『報酬と罰(飴と鞭)』によって行動の生起を変容させる『オペラント条件付け(道具的条件付け)』の原理で説明することが可能である。

人間心理を行動の観察から理解しようとしたジョン・B・ワトソン(J.B.Watson, 1878-1958)は、I.P.パヴロフの発見した古典的条件付け(レスポンデント条件付け)の原理を応用したS−R理論を提唱した。つまり、刺激(Stimulus)に対する反応(Response)という形で人間の行動を理解するのがS−R理論の基本である。不安・恐怖・苦痛を感じる不快な刺激を与えると、回避行動という反応が条件づけされるが、安心・歓喜・満足を感じる快の刺激を与えると、接近行動という反応が条件づけされる。

報酬(正の強化子)によって動機づけが高まる『外発的動機づけ(extrinsic motivation)』は、B.F.スキナー(B.F.Skinner, 1904-1990)が実証したオペラント条件づけ(operant conditioned)の原理によって的確に説明することが出来る。

バラス・F・スキナーが実施したスキナー箱の実験では、ネズミを箱に入れて餌を取る為の仕掛け(レバー式の餌入れ)を施し、ネズミの自発的な『レバー押し行為』の生起頻度を観察した。ネズミは餌の取り方を試行錯誤して学習すると、(偶然ではなく)自発的にレバーを押して餌を取れるようになっていった。つまり、自分から能動的に行動して餌を取るというオペラントな行動を学習することに成功したのである。

オペラント条件付け(道具的条件付け)とは、報酬としての快の刺激を与える『正の強化子』と罰としての不快な刺激を与える『負の強化子』を用いて行動の発現頻度を条件付けするものであり、動物だけでなく人間にも有効な行動の一般原理である。俗に、『飴と鞭の効果』とも言われるが、外発的動機づけとは『飴(報酬)の効果』のことであり、『鞭(罰)の効果』として有名なものに回避条件づけと恐怖条件づけとがある。しかし、創造的で画期的な課題を達成したりする場合、あるいは、複雑で高度な問題を解決しようとする場合には、外部の報酬の有無に大きく依存する『外発的動機づけ』はあまり有効ではない。

創造性や想像力を必要とする『パターン化できない仕事(課題)』の場合には、仕事を面白いと思ったり、課題にやりがいを感じたりする内発的動機づけが欠かせないと言われる。『何かが欲しいからやる(報酬要因)』という動機づけや『やらなければいけないからやる(強制要因)』という動機づけでは、外部のインセンティブ(報酬となる誘因)がなければ途端にやる気がなくなってしまうし、外部の強制力(罰となる規則や叱責)がなければすぐに仕事(課題)を放り出してしまうのである。何故なら、外発的動機づけとは、『行動・活動・課題そのもの』には殆ど関心がなく、その結果として得られる『報酬(金銭・名誉・地位・賞賛)』にばかり意識が向かっているからである。

モチベーション(やる気)を高める外的要因(報酬の効果)になるものとしては、『賞賛・承認・評価』という対人的な強化子と『金銭・異性・食物』という物理的な強化子がある。しかし、最も生産性が高く持続力の長い動機づけは、『その行動自体に興味関心を抱き、自分の能力・知識を高めながら目標を達成したい』とする内発的動機づけであることを忘れてはならない。

学校教育において子供の学習意欲(学習モチベーション)を高める場合にも、外発的動機づけを用いると『一時的・他律的・依存的なやる気』しか生まれないので、内発的動機づけを用いて『継続的・自律的・能動的なやる気』を促進して上げる必要がある。森羅万象に対する知的好奇心と貪欲な探究心を高めながら、『自分がやりたいからやる・自分が知りたいから勉強する』という形の学習習慣(勉強方法のパターン)を身に付けさせることが初等教育の学習指導の目標なのである。



posted by ESDV Words Labo at 03:34 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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