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2007年01月22日

[A.W.コームズ(A.W.Combs)の開放系心理学(open system psychologies)]

A.W.コームズ(A.W.Combs)の開放系心理学(open system psychologies)

アメリカの心理学者A.W.コームズ(A.W.Combs)は、対人援助技術や援助的な人間関係に着目して、心理学の調査研究法を『開放系心理学(open system psychologies)』『閉鎖系心理学(close system psychologies)』とに大きく分類した。『あなたはどんな音楽を聴きますか?あなたはその人間関係をどのように感じていますか?』といった相手が自由に答えられる質問を、カウンセリングでは『開いた質問(opened question)』という。それに対して『あなたは学生ですか?・あなたは東京出身ですか?』といった「はい・いいえ」で答えなければならない質問を、カウンセリングでは『閉じた質問(closed question)』という。

A.W.コームズ(A.W.Combs)が提案した開放系心理学とは、カウンセリングの『開いた質問』と同じように、自由度が高く特定の目標が定義されていない心理学のことである。開放系心理学は、科学的な研究法・実践法の分類では『探索的研究法・発見的研究法』に分類されることがあるが、基本的に、特定の問題を解決していくような問題解決志向(目標達成志向)ではなく、新たな事例や現象を見つけるという意味で『発見志向(探索志向)の心理学』である。

科学的な研究方法に基づく検証実験に縛られない開放系心理学(open system psychologies)の特徴は、『新しい事例の発見志向・目標を特定しないプロセス志向・心理面接の自由度(非構造化面接)の重視』などで表現されることがある。それに対して、閉鎖系心理学(closed system psychologies)は、開放系心理学と比較すると科学的研究法を重視した心理学であり、『仮説演繹法・帰納推測法を用いた検証可能性』『明確な目標達成志向(法則定立志向)』によって成り立っている心理学分野である。

臨床心理学の知見に基づいて行う専門的な対人援助は、一般的には、カウンセリングや心理療法と呼ばれるものであるが、カウンセリング(心理療法)にも開放系心理学と閉鎖系心理学の分類を当てはめて考えることが出来る。開放系心理学のカウンセリングとは、『人格の成熟・心理的な成長・無意識の洞察・意味の発見』など主観的な目標(曖昧な目的)を達成しようとするものであり、相互的な親近感・信頼感を元にして、生活の質(QOL)の改善や人生の意味の洞察などへつなげるものである。

代表的な開放系心理学のカウンセリングには、カール・ロジャーズの来談者中心療法、フロイトを始祖とする精神分析療法、V.E.フランクルが創始したロゴ・セラピー(実存療法)などがあり、一般的な非構造化面接(自由な対話形式の面接)で行うカウンセリングの多くは開放的なものである。

閉鎖系心理学のカウンセリングとは、『問題の解決・症状の改善・人間関係の修正』など客観的で具体的な目標(特定可能な目的)を達成しようとするものであり、スケーリング(相対的な数値)や心理アセスメントなどを用いてカウンセリングの効果を、ある程度正確に測定することが出来る。人間的な成長や心理的な洞察など漠然とした全般的改善を志向する開放系心理学では、カウンセリングの効果を測定することが極めて困難であるか不可能である。代表的な閉鎖系心理学の心理療法(カウンセリング)には、アーロン・ベックが創始した認知療法、系統的脱感作などを行う行動療法、行動と認知の相互的変容を目指す認知行動療法などがある。



posted by ESDV Words Labo at 04:47 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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