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2013年02月13日

[ミルトン・エリクソン(Milton H. Erickson):2]

ミルトン・エリクソン(Milton H. Erickson):2

M.エリクソンはアメリカ精神療法協会やアメリカ心理学会、アメリカ精神病理学会などに所属したが、催眠療法の臨床的な実践・教育を目的とする『アメリカ臨床催眠学会』を自分で創設してその初代会長に就任している。20世紀前半の大学での精神医学講義は体系化されておらず未完成であったため、M.エリクソンは精神医学や催眠(催眠療法)の多くを独学と試行錯誤の中で学び取ったとされ、その理論と技法は“アカデミック(学術的)”なものではなく“プラクティカル(実用的)”なものであった。

催眠療法の臨床的な有効性や実践的なアプローチを向上させるために、M.エリクソンは世界中を駆け回るワークショップを何度も開催する『心理療法教育の世界行脚』を行ったが、持病のポリオの再発によって遂に日本に来日することは叶わなかった。日本人で催眠療法を中心とするエリクソンの心理療法の教えを受けたのは、高石昇や柴田出などに限られ、直接的にM.エリクソンと会話したり指導を受けたりした日本人は極めて少ない。その影響もあって、日本の心理臨床学会や精神医学会では、ミルトン・エリクソン直伝の職人技(アート)的な催眠療法は殆ど広まることが無かった。

M.エリクソンは幼い頃から『ポリオ・色覚異常・失音楽症(音楽を理解できない聴覚統合障害)』などの先天的な身体障害や感染症の後遺症に苦しめられてきたが、その事が彼の『視覚的・直観的な特殊能力』を発展させたとも考えられている。17歳の時には目を除いた全身が麻痺するポリオの後遺症が発症しており、エリクソンはその不自由極まりない身体障害の状態の中で、『言語の暗示効果(メッセージの複層性・多元性)』『他者の身体運動や心理状態の観察から分かるもの』を深く理解することが出来たという。

エリクソンは自分の家族のコミュニケーションを綿密に観察することで、一つのメッセージには『異なる階層(クラス)』『複数の意味』があるという言語の構造に気づき、これを『ダブルテイク(ある言葉に2重の解釈が有り得ること)』『トリプルテイク(ある言葉に3重の解釈が有り得ること)』と名付けた。M.エリクソンは『言語の持つ複層性・多義性』を深いレベルで理解したが、この知見は“精神の生態学”を構想していたグレゴリー・ベイトソン『ダブルバインド理論(二重拘束理論)』にも大きな影響を与えている。

この記事の内容は、『ミルトン・エリクソン:1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 01:09 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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