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2013年02月13日

[アルバート・エリス(Albert Ellis):2]

アルバート・エリス(Albert Ellis):2

論理療法の基本前提である『ABC理論(ABCDE理論)』では、就職(進路)がなかなか決まらないという“客観的な出来事”があるから、“抑うつ感・絶望感の心理状態”が生まれるとは考えない。就職(進路)がなかなか決まらないという“客観的な出来事”を、悲観的に解釈して自分の価値や可能性を低く評価するから“抑うつ感・絶望感の心理状態”に陥ってしまうのであって、そのネガティブな心理状態を改善するためには『客観的な出来事の受け止め方(解釈)』のほうを、まずは肯定的・適応的に変化させていく必要があるのである。

『就職・進路が決まらないという客観的現実』に対して、『自分には能力や魅力がないからダメなのだ,これから先も良い就職にはありつけない,努力や工夫をしても結果がついてくるはずがない』という風に悲観的に受け止めれば、気分は落ち込み憂鬱感に陥ってしまう。逆に、『今まではダメだったが二次選考まで残った所も多かった,これから頑張り続ければ自分に合った企業が見つかるはず,不採用になった要因を分析してできるところから改善していく』という風に自己肯定的あるいは生産的な受け止め方をすれば、気分が上向きやすくなり意欲も高まりやすくなるのである。

アルバート・エリスの『論理療法(RT)』は、後年になると論理的な信念と感情・行動の相関関係をより重要視するようになり、『論理情動行動療法(REBT)』として再編されることになった。A.エリスの論理情動行動療法(REBT)とは、“Rational Emotive Behavioral Therapy”の略称である。アルバート・エリスの『ABCモデル(ABCDEモデル)』は以下のようなものであるが、アーロン・ベックがうつ病の心理療法に当てはめた『認知理論(抑うつスキーマ)』と類似した構成を取っている。

アルバート・エリスの『ABCモデル(ABCDEモデル)』は以下のようなものであるが、アーロン・ベックがうつ病の心理療法に当てはめた『認知理論(抑うつスキーマ)』と類似した構成を取っている。いずれの理論モデルも、『客観的な出来事(A)』と『結果として起こる感情・気分(C)』が直接的に結びついているのではなく、『客観的な出来事(A)』を『信念・物事の受け止め方(B)』で解釈することによって、『結果としての感情・気分(C)』が生じるというものである。

アルバート・エリスのABCDE理論

A(Activating Event,起こった出来事)……客観的な出来事が発生すること。客観的な出来事には、人間関係(コミュニケーション)や外部環境、状況の変化などが含まれている。

B(Belief,信念)……客観的な外部の出来事や人間関係をどのように受け止めて評価するのかという『信念・認知・考え方』のことであり、論理情動行動療法ではこの『B』の非合理的な歪みを変容させることが一つの目標になる。

C(Consequence,結果)……その個人に特徴的な信念(思考)によって発生した結果としての感情・気分であり、この感情・気分は『客観的な出来事(A)』とは直接的に結びついていない。

D(Dispute,反駁)……感情・気分の落ち込みや不適応状態を生み出す非合理的な信念(イラショナル・ビリーフ)に対する論理的な反論(効果的な反駁)のことである。この反駁による論理的な対決姿勢がA.エリスの論理情動行動療法の作用機序の要になっている。

E(Effective New Belief, Effective New Philosophy,効果的な新しい信念・哲学)……気分の落ち込みや感情の悪化など心理的問題を未然に予防できる効果的な新しい信念(効果的な新しい人生哲学)のことであり、論理情動行動療法で最終的に構築すべき課題(内的な合理的信念)である。

この記事の内容は、『アルバート・エリス(Albert Ellis):1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 08:05 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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