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2013年03月01日

[レオ・カナー(Leo Kanner):2]

レオ・カナー(Leo Kanner):2

レオ・カナーも自閉症児を育てている母親の性格傾向や愛情不足(冷たい接し方)に問題があるという『冷蔵庫マザー説』を間接的に支持するような発言をしていたが、1969年の『アメリカ自閉症協会』の年次大会において、『冷蔵庫マザー説を自分は初めから支持していなかった(自閉症の原因は先天的要因だと言い続けてきた)』と釈明している。

当時は早期発達理論における精神分析の影響が非常に強かったため、L.カナーに限らず『乳幼児期から思春期までの子どもの精神発達・人格形成に対する母親の影響力』が実際以上に非常に大きなものと考えられていた。すべての乳幼児・児童の精神疾患や青年の非行問題の原因が、『母親の育て方の間違い・母の子に対する愛情不足(子どもの孤独感と寂しさ)』に求められがちであった。

母親の愛情不足や冷淡な拒絶、母子間の愛着形成の障害が自閉症の原因であるとする間違った仮説は、カナーだけではなくシカゴ大学教授の精神分析家ブルーノ・ベッテルハイム (Bruno Bettelheim)によっても強く主張されていた。特にブルーノ・ベッテルハイムの著書『うつろな砦−小児自閉症と自己の起源("The Empty Fortress: Infantile Autism and the Birth of the Self")』は、自閉症の子どもには母子関係の愛着障害や母親の冷たい子育ての態度があるという心理的原因を広める結果につながってしまった。

自閉症の子どもの『自閉度・症状の重さ』『知能指数の高さ・生活適応度』には非常に大きなバラつきがあるため、知能が高くて言語機能も発達している高機能自閉症(アスペルガー障害)のケースでは、健常者と自閉症者との境界線は必ずしも明確ではなくなってくる。自閉症の代表的な症状は、精神科医ローナ・ウィング(Lorna Wing, 1928-)がウイングの3つ組としてまとめた『対人関係(社会性)の障害・言語機能(コミュニケーション)の障害・常同行動の固執(興味関心の著しい限局)』である。

更にウィングは“自閉症の連続性・多様性(健常と自閉の境界線の曖昧さ)”を症候群・知能指数のグラデーションで反映させた、『自閉症スペクトラム』の概念も提唱している。知能指数が70以下で低くて言語機能にも障害がある群を『低機能自閉症(カナー型自閉症・カナー症候群)』と呼んでいるが、レオ・カナーが初めて発見した早期幼児自閉症は、重症度が高くて日常生活や人間関係への適応も難しい低機能自閉症であった。

知能指数(IQ)が正常であり、一定の言語機能(コミュニケーション能力)や生活適応度もある群は、『高機能自閉症(アスペルガー障害・アスペルガー症候群)』と呼んでカナー型自閉症とは区別している。

この項目の内容は、『レオ・カナー(Leo Kanner):1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 10:57 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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