ポジティブ・フィードバック(positive feedback)
行動主義心理学におけるポジティブ・フィードバック(positive feedback)とは、人間のある行動に対してその行動を肯定的に評価する情報(反応)を与えることである。言い換えれば、ポジティブ・フィードバックは『正の強化子』を人の行動に与えることで、その行動の生起頻度を高めるものであり、問題行動(不適応状態)を改善する行動療法で多く利用されている。
ポジティブ・フィードバックは“賞賛・評価・報酬・賛成”といった正の強化子を与えることで、『望ましい適応的な行動』の生起頻度を増加させるものである。それに対して、ネガティブ・フィードバック(negative feedback)というのは“否定・批判・罰則・反対”といった負の強化子を与えることで、『望ましくない不適応な行動』の生起頻度を減少させようとするものである。
単純に、行動の生起頻度を増やすフィードバック(反応による元の行動への還元)のことを『ポジティブ・フィードバック』と呼び、反対に、行動の生起頻度を減らすフィードバックのことを『ネガティブ・フィードバック』と呼ぶこともあるが、学習能力が高くて自発性・自己観察力が高い人ほど、ポジティブ・フィードバックのほうが高い改善効果を発揮しやすい。ネガティブ・フィードバックのほうは、注意や批判、反対などが『相手の人格・価値観に対する否定的な態度』として受け取られやすい短所があり、問題行動や不適応状況が改善せずにかえって劣等感(卑屈な自意識)を強めてしまうだけのことも多い。
『褒める教育・しつけ』の作用機序としてのポジティブ・フィードバックは、ただ相手の行動や結果を褒めて肯定するだけではなくて、それと合わせる形で『ここをこのようにすればもっと良くなるよ・この部分を改善すれば更に成績を伸ばせるよ』といった具体的・個別的なアドバイスをしていくことで、更に大きな改善効果(人格・能力の成長)を期待することができる。
相手の性格傾向や意欲の強さ、学習能力に合わせて、ポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックを適切に使い分けていくことが大切であり、どちらのフィードバックが良いのかは『教える人と教わる人の人間関係のあり方』によっても変わってくるのである。尊敬や信頼、関心、好意がない好ましくない相手からポジティブ・フィードバックを返されても、その言葉を真剣に受け止めることができないので、調子に乗って傲慢な態度になってしまったり、バカバカしく感じてやる気を無くしてしまうリスクもある。

