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2013年04月21日

[エリ・ギンズバーグ(Eli Ginzberg)]

エリ・ギンズバーグ(Eli Ginzberg)

ギンズバーグというと、仏教思想・インディアン文化の影響を受けてビート運動(ヒッピーの原型的運動)を推進したアメリカの詩人アレン・ギンズバーグが有名であるが、アメリカの経営学者のエリ・ギンズバーグ(Eli Ginzberg,1911〜2002)はキャリアカウンセリングや職業指導(進路振動)の発達理論の大家として知られている。エリ・ギンズバーグは生涯発達心理学の前提に立って、個人の職業選択やキャリア構築を理論化していったが、ギンズバーグの研究領域はマンパワーの人材の能力開発・職業訓練を包摂するものだった。

コロンビア大学で教えていたE.ギンズバーグの『職業選択理論』は、個人の長期の発達過程と実際の職業選択の相関関係を明らかにしたものであり、1951年には青年期までの『個人の職業選択プロセス(職業選択過程)』を以下の3つの時期に区分している。また、E.ギンズバーグは職業選択の基本原則として次の3点を指摘しており、近代社会における学校制度+職業選択とその選択に基づくキャリアデザインの原型を提示した。

1.職業選択プロセスは、一般的に(幼少期・学生期を含めて)約10年以上の時間を要する長期的プロセスである。

2.職業選択プロセスは、不可逆的である。

3.職業選択プロセスは、『個人の欲求』と『現実の条件』との間の妥協(折り合い)を伴うプロセスである。

しかしその後に、幼少期から中年期・老年期にまで及ぶ『生涯発達心理学』の前提を重視するような態度に変わったため、『職業選択プロセスの可逆性(青年期以降の職業活動のやり直しの可能性)』『妥協ではない現実的環境への最適化(消極的な選択ではなく自分の能力・意欲・経験に基づいた適応戦略)』などの点で持論を修正している。

青年期までに限定された職業発達理論(キャリア発達理論)も撤回して、個人のキャリア発達は全生涯を通じた意思決定の繰り返しによって具体的に進展していくことになると主張した。職業選択プロセスは『可逆的』で後戻りすることも可能であるが、時間や経費などのコストが大きくなるというデメリットを伴うとした。

エリ・ギンズバーグの職業発達プロセスの理論

1.空想期……幼少期〜11歳以下の時期。遊びや親の話、学校教育、大人の姿を通じて、大まかな仕事の種類・内容について知るようになり、子どもらしい空想や夢を伴いながらも、いつかは自分もするであろう『職業の概念』を少しずつ理解し始める時期である。

2.試行期……11歳〜17歳頃の時期。自分の興味関心や好き嫌いに対応して職業分野やその方向性が少しずつ明らかになってくる時期。また自分の実際の能力や興味、進路、価値観に応じた『現実的な職業選択』に対する意識も段階的に強まってきて、高卒で就職を考えている人にとっては特に差し迫った人生の選択を伴う時期になってくる。“1.興味→2.能力→3.価値観→4.過渡期”の発達プロセスによって職業選択に近づいていく。

3.現実期……17歳頃〜20代前半の時期。将来の職業選択が『希望・想像』ではなく『現実・能力』に基づくものに変化してくる時期である。抽象的にこういった仕事がしたいという職業選択ではなく、その仕事をするために具体的にどんな能力・履歴・資格が必要なのかという現実的な職業選択を強く意識するようになる。

職業選択の条件をより具体的で現実的なものにしていき、その職業に就職するために必要な専門知識や学歴・資格を身につけようとする。そして、実際にその仕事を始めることで、キャリアとしての職業経験(職歴)を積み重ね始める。“1.探索→2.結晶化→3.特殊化”の発達プロセスを経て、実際に自分の職業を選択して働き始める。

エリ・ギンズバーグの職業選択プロセス理論の土台になったデータベースは、1950年代初頭に精神科医・心理学者・社会学者と分野横断的に連携して行った、『青年期の男女を対象にした社会調査(職業選択に関する面談形式の調査)』であった。

その調査結果は『Occupational Choice An Approach to a General Theory, Columbia University Press, 1951)』の著作で参照されているが、E.ギンズバーグは職業選択が青年期の就職の一時期だけに行われているのではなく、幼児期からずっと将来の職業選択につながる様々な選択・決定・認識が為されていることを指摘している。この職業的発達の指摘は、本人が満足できる職業選択をするには、幼児期・児童期からの家庭環境や教育環境、職業についての興味が大切であることを示唆している。



posted by ESDV Words Labo at 17:11 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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