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2013年04月21日

[ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)3:スーパーのキャリア発達の原則と8つのライフロール]

ドナルド・E・スーパー(Donald E.Super)3:スーパーのキャリア発達の原則と8つのライフロール

D.E.スーパーはキャリア発達や職業選択プロセスの基本原則として以下の3点を上げて、『労働者・市民(政治主体)・学習者・家庭人・余暇人』の5つの役割分担のパーソナリティ区分を提示した。

1.個人は多様な可能性を持っていて、自分の能力・適性・意欲に合った様々な職業を選択することができる。

2.職業的発達(キャリア発達)は、知能発達・情緒的発達・社会的発達と同様の個人の発達プロセスの一側面であり、段階的発達の一般的な法則に従っている。

3.キャリア発達プロセスは、職業活動を通して自己概念を実現させようとするものであり、漸進的・継続的・非可逆的なプロセスを示す。

D.E.スーパーはキャリア(career)『人生の各時期に果たすライフロール(役割)の組み合わせ』として定義し、職業選択(職業継続)と関係するキャリア発達とは、一生を通じて自分のライフロールの中で行う自己選択と意思決定の繰り返しであると仮定した。スーパーはこのライフロールの役割の組み合わせを図示(グラフ化)した概念を『虹』に例えて、『キャリアレインボー(career rainbow)』と呼んだ。代表的なライフロールには次の8種類があり、人はこれらの役割を職場、家庭、地域、学校などの必要性や関係性に応じて使い分けている。

8つのライフロール(人生における役割)

子供……親から保護されたり教育されたりする未熟な役割で、成長するに従って次第に親に対する子ども(守られる立場)の役割から離脱していく。

学生……学校で授業を受けたり勉強したりする役割で、小・中・高の生徒、大学の学生、社会人の学生などが含まれている。近年では生涯学習の立場から、成人して以降も学生としての役割もしている人が増えている。

職業人……収入を得るための仕事・生産活動をする役割で、会社員や派遣社員、アルバイト、パートなどの雇われている被用者もいれば、自分で事業をしている経営者・個人事業者(自営業)・フリーランスもいる。

配偶者……夫に対する妻、妻に対する夫の役割であり、近年はダブルワーク(夫婦共働き)の影響で『性別役割分担』が弱まって、『夫婦の同意に基づく役割分担』が増えている。法律婚だけに限定されるものではなく、カップルとして共同生活を送っている者が、相手に対して相互的に果たすことが期待される役割でもある。

家庭人……社会の最小構成単位である家族・世帯の一員としての役割で、具体的には炊事・掃除・洗濯・日曜大工・買い出しなど家庭を維持するために必要な仕事を行う役割である。かつては専業主婦がその大半の役割を請け負っていたが、最近では家族メンバーで役割分担してするようになっている。

……子どもに対する養育者である親としての役割で、子どもの衣食住・安全を保障したり、当該社会で生きていくために必要な教育を与えたりしつけを行ったりする。精神的なバックアップや人生・人間関係の悩みに対する相談などの役割も果たすことが期待される。

余暇を楽しむ人……読書やスポーツ、ゲーム、娯楽全般など、自分が好きなことをして楽しむ役割・立場・時間のことである。余暇を楽しむ人の立場を楽しむために、人間は仕事をして働いたり他人と関係を持ったり、経済生活の基盤を固めて休みのスケジュールを立てたりする。

市民……社会を構成する一員として、政治活動やボランティア、社会福祉活動などに参加する役割であり、『金銭的な報酬』がなくても社会貢献・自己実現・政治の改善のために積極的に活動するのが市民である。

引退して公的年金に老後生活を依拠しながら、社会的活動に参加したり福祉的活動に貢献したりする『年金生活者』もこれに加えることがある。

この項目は、『ドナルド・E・スーパー:2』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 17:17 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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