ジョイ・P・ギルフォード(Joy Paul Guilford)とY-G性格テスト
アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォード(Joy Paul Guilford,1897-1983)は、1927年にコーネル大学のF.B.ティチナー(F.B.Titchner)の下で心理学を学んで学位を取得した後、ネブラスカ大学や南カリフォルニア大学で教授職を勤めた。
大学の教授を退いた後には、“Santa Ana Army Air Base”の心理学研究所でディレクターとして貢献した。アメリカ心理学会会長や精神測定協会会長といった名誉職をも歴任していたアメリカ心理学会の重鎮であり、日本では『矢田部・ギルフォード性格検査(Y-Gテスト)』の開発者としてその名前を知られている。
ジョイ・ギルフォードが精力的に取り組んだ心理学研究の分野は、『知能・性格の因子分析的及び精神物理学的な測定法』であり、知能研究の分野では多因子仮説である『知能構造論(SIモデル)』を提唱した。J.P.ギルフォードは人間の知能が複数の因子から構成されているという『多因子仮説』を展開し、『知的操作・知的所産・知的内容』の三つの次元からなる理論モデルをベースにして約120個もの知能を構成する因子を抽出したのである。
知能構造論では、複数の事物に幅広く関心を持って知識を広めていく『拡散的思考』と物事を一点に集中して分析的に深く理解していく『収束的思考』とが区別されたりした。ギルフォード自身は、新しいアイデアや解決策を発想する考え方である『拡散的思考』のほうを創造的思考であるとして高く評価しており、『収束的思考』のほうは決められたありきたりの答えを求めるためのマニュアル的思考方法に過ぎないと考えていた。
ギルフォードの知能の多因子説では、頭の働かせ方である『知的操作』として5種類が上げられ、知的活動の結果として生み出される『知的所産』として6種類が上げられ、知的操作の対象やその素材となる『知的内容』として4種類が上げられている。『知的操作・知的所産・知的内容』の三軸からなる立体的構造として、知能研究の理論モデルが定義されていたのである。
ギルフォードは人間の知能を構成する因子として『創造性(creativity)』を初めて重要視した心理学者とされており、『創造性検査』という心理テスト(性格検査)も開発している。創造性を構成する因子としては、『問題への敏感さ・流暢性・柔軟性・独自性(非凡さ)・綿密さ・再定義(再構成能力)』の6つが上げられている。
性格検査の分野では、人間の性格を構成する13(あるいは12)の因子を定義しており、その因子を理論的基盤に置いた上で『Y-Gテスト(矢田部・ギルフォード性格検査)』を開発した。Y-Gテストには、120の質問項目が準備されており、以下の12の性格測定尺度を組み合わせることで、人間(クライアント)の性格の全体像を理解する仕組みになっている。
D尺度(抑うつ性)
C尺度(回帰的傾向)
I尺度(劣等感)
N尺度(神経質)
O尺度(客観性)
Co尺度(協調性)
Ag尺度(攻撃性)
G尺度(一般的活動性)
R尺度(呑気さ)
T尺度(思考的外向)
A尺度(支配性)
S尺度(社会的外向)

