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2013年05月30日

[ウィリアム・キルパトリック(William Heard Kilpatrick)とジョン・デューイ]

ウィリアム・キルパトリック(William Heard Kilpatrick)とジョン・デューイ

アメリカの教育哲学者であるウィリアム・キルパトリック(William Heard Kilpatrick,1871-1965)は、アメリカを代表するプラグマティズム(実用主義)の哲学者・教育学者として名前を知られているジョン・デューイ(John Dewey, 1859-1952)の思想の影響を受けた人物である。

学問(教育活動)が実際に何の役に立つのかという実用性・社会性を重視したジョン・デューイは、『客観的な知識・実在』を厳密学として追究してきた観念的な哲学史(実際の生活や人生の役に立ちづらい哲学の歴史)を終わらせた人物として評価されることが多い。プラグマティズムに分類されるデューイだが、本人は『道具主義』という用語で自分の学問的立場を自称していた。

J.デューイは近代哲学の完成形態である『ヘーゲルの観念論』を、実際的な経験と人間的な反省の原理に転換していったが、そのJ.デューイの影響を受けたウィリアム・キルパトリックも『プラグマティズムの教育思想』を展開して、民主主義的・市民的な思考の道具として教育や学問を位置づけていった。J.デューイはウィリアム・ジェイムズの『心理学原理』から示唆を受けて、ヘーゲルの観念主義と近代的な実験科学を統合する『機能主義心理学(シカゴ学派心理学)』を構想した。W.キルパトリックも『意識的な経験』を重視するという意味で、機能主義心理学のような理論構成を採用している。

ウィリアム・キルパトリックの教育哲学の基本は、日常生活そのものが生産的な学びにつながっているという『生活即学習・学習即生活』である。従来の学校教育における支配的な教育理論であった『記憶(暗記)主義・知識注入主義』に反対して、“知識のための知識”ではなくて“道具として使う知識=問題解決のための知識”を与えることが教育の目的だと主張した。J.デューイは『絶対的な真理』や『普遍的な知識』を求めるアプローチをドグマとして批判的に捉えて、『真理』については『人々がより好ましいと判断する信念体系』であるとした。

プラグマティズムの教育論では、社会的機能・社会関係の中にある実用的な知識体系が仮定されるが、W.キルパトリックも『プロジェクト法(project method)』という学習メソッドを提唱して社会的機能や社会関係と相関する問題解決的な知識を教授しようとしたのである。キルパトリックはデューイと同じく、問題を間違えることや試行錯誤して迷うことを積極的な問題解決プロセスとして評価したが、こういった『複合的なアプローチ』は子供の身体・精神・知能・感性の発達を促進するという副次的な効果にも注目されている。



posted by ESDV Words Labo at 08:57 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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