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2013年05月30日

[エミール・クーエ(Emile Coue)]

エミール・クーエ(Emile Coue)

フランスの薬剤師・心理学者であるエミール・クーエ(Emile Coue, 1857-1926)は、神秘的とも言える独自の『自己暗示療法』を創始した人物であり、その驚異的な自己暗示療法によって曲がっていた背骨を直したり、心臓疾患・がんなどの身体疾患を改善させたりしたという。しかも、クーエの自己暗示の教示文は極めてシンプルで分かりやすいものであり、心身医学のような医学的知識とも殆ど無縁であった。

“クーエイズム”と呼ばれるクーエの神秘的・霊的とされる自己暗示方法は、ただ『わたしは毎日(日に日に)あらゆる面で、ますます良くなっていく』という言葉を自分に対して本気で誠実に信じながら繰り返し唱えるだけというものである。非常に単純な文章で、ある意味ではバカバカしいとも言える自己暗示方法なのだが、クーエイズムの治療法は『心身症・自律神経失調症・子供の不定愁訴(身体不調)・赤ちゃんの心身の不調』などに劇的な効果を発揮した。

哲学者・神学者で心霊治療に関心を持っていたマード・マクドナルド・ベインは、エミール・クーエは見えない霊力を活用した自己暗示療法を行っていると示唆したが、クーエイズムは一般的にはスピリチュアル・セラピー(霊的治療)とは見なされていない。

だが、常識的な催眠・暗示療法のメカニズムでは治療することが難しい『心身症・身体疾患』を治しており、その科学的なメカニズムははっきりとは解明されていない。ミルトン・エリクソンのような超人的な暗示療法家でもあったのである。

1857年にフランスのオーブ県トロワに生まれたクーエは、フランスのナンシーで自己暗示の診療所を開設するまでは、トロワで約30年間にわたって薬剤師の仕事をしていた。エミール・クーエは、以下のような『意志力』『想像力』に関する一般法則を提示しており、こういった法則性を暗示療法にも応用していたと考えられている。

1.意志力と想像力(イメージ)が相反している場合には、想像力(イメージ)が勝つようになっている。

2.意志力で『無理に努力しようとすればするほど』に、ネガティブな想像力(イメージ)は強力になり、その意志の努力は反対の結果を導き出す。

3.意志力と想像力(イメージ)が相反した場合には、想像力の強さは意志力の二乗に正比例する。

自己暗示によって潜在意識(無意識)本来の力を引き出すには、『意志力』に頼りすぎずに心身をリラックスさせることが大切なのである。クーエは、ポジティブな目標を繰り返し意志するだけではなくて想像することの重要性を説き、その目標を『単純・簡潔な言葉』に置き換えて、繰り返し何度も唱えることで効果が実感できるとした。



posted by ESDV Words Labo at 10:01 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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