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2007年03月23日

[記述統計学(descriptive statistics)と推測統計学(inferential statistics)]

記述統計学(descriptive statistics)と推測統計学(inferential statistics)

統計学とは対象とする母集団のデータを数量化したり、母集団からサンプル(標本)を抽出してその特徴や傾向、ばらつき(確率)を分析する科学的な学問分野であり、大きく分けると記述統計学と推測統計学とに分類することが出来る。統計学は、あらゆる科学分野において確率論的な根拠を提示する学問であり、経験的に得られたデータを数量化して集団全体の性質・特徴・傾向を明らかにしようとするものである。基礎心理学や応用心理学だけでなく、経済学、生物学、物理学、化学、社会科学、EBM(根拠ある医療)を推進する医学・疫学・薬学などにおいても統計学の知識と技術は欠かすことのできない基礎教養となっている。

記述統計学(descriptive statistics)とは、観察対象となる集団の性質(特徴)・傾向(ばらつき)を正確に記述することを目的とする統計学である。記述統計学では、サンプルの個別的なデータを数量化(数値化)して取り扱いながら集団の性質(特徴)を記述していくが、データを質的に捉えるのではなく量的に捉えるところに科学的学問としての特徴がある。大量のデータの観察と数量化によって集団の特徴をコツコツと記述するのが記述統計学であるが、統計学の歴史において最も初期に発達したのが記述統計学である。

記述統計学を大成したのは、優生学の提唱で著明なフランシス・ゴールトンの後継者であった数学者のカール・ピアソンである。自然選択と突然変異による進化論の唱導者であるチャールズ・ダーウィンの従兄弟であるフランシス・ゴールトンも、頭蓋計測学の流れを汲む生物計測学の研究を通して統計学の発展に寄与した。

推測統計学(inferential statistics)とは、母集団から抽出したサンプル(標本)に基づいてその母集団全体の特徴や性質を推測しようとする統計学であり、一般的に統計学に基づく集団の分析などというときには、この推測統計学が前提にされていることが多い。

『部分のデータ(サンプル)』を調べて分析し、『全体の集団の特徴・傾向』をある程度の妥当性・信頼性を持って推測するのが推測統計学である。推測統計学は記述統計学を基盤にして、R.A.フィッシャーなど経済学の研究と共に発展したが、推測統計学を確立したのは数学者(数理統計学者)のイェジ・ネイマンエゴン・ピアソンであると言われる。

推測統計学では、サンプル(標本)の抽出方法・サンプルの数量・結果の信頼性などが重要になってくるが、医学・薬学の治験(臨床試験)として最も信頼性の高いプラセボ二重盲検比較臨床検査(ダブルブラインドの比較臨床試験)なども推測統計学をベースにしている。推測統計学は高度な数学を駆使する科学的分野であり、少数のサンプルから集団全体の特徴をかなり正確に推測できる応用範囲の広い統計手法なのである。

ラベル:統計学
posted by ESDV Words Labo at 01:31 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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