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2013年06月28日

[ウィリアム・グラッサー(William Glasser)の選択理論と現実療法:2]

ウィリアム・グラッサー(William Glasser)の選択理論と現実療法:2

選択理論ではない従来の行動主義心理学では、『オペラント条件づけ(道具的条件づけ)』によって、相手に報酬や罰などの強化子の刺激を与えることで、相手に望ましい行動を取らせようとする。だが、このオペラント条件づけの方法論を、無理矢理に現実の生活・活動に当てはめると、『人間関係のトラブル・不信感による決裂』という弊害がどうしても起こってしまうのである。

精神科医のウィリアム・グラッサー(William Glasser)は、心理臨床(カウンセリング)だけではなくて学校教育(教育方法の改革)の分野にも強い関心を持ったが、『報酬と罰による強制の弊害(人間関係の破綻・混乱)』を回避するために、『自主的な行動の選択(自己選択による結果の納得)』による問題解決を重視した。自分の行動を選択するのは自分であり、他人や社会(外部)から影響を受けているとしても、最終的に決断するのは自分以外にはいないという人間観が選択理論を貫いているのである。

他人を報酬や罰、脅しを用いて操作しようとすると『人間関係の破綻・混乱』がどうしても起こってしまうが、選択理論の心理学では『他者の理解・受容』と『他者との交渉・納得』によってお互いを傷つけずに済む問題解決のあり方を模索してゆく。自分の行動に対する選択(責任)、自分と他者との交渉的なコミュニケーションによって、『円滑な人間関係(自己と他者の信頼関係)』を維持したまま、問題解決や自己成長を図ろうとするのが『選択理論・現実療法』の特徴になっている。

選択理論では人間の行動について『全行動』という概念で説明している。この全行動は『思考・感情・行為・生理反応』の4つの要素で構成されているのだが、ここでも思考(物事の捉え方)や行為(実際に何をすることを選ぶか)を変えることによって、自分の感情・生理反応(自律神経系)をコントロールできるという『認知療法的な考え方』が導入されている。

自分が選ぶことになる行動を、直接的あるいは間接的にコントロールするためにまず重要なことは、『目標設定+自分の願望の明確化』であり、その目標・願望の充足に向かって『今・ここにいる自分』がどんな有効な行動を選ぶことができるのかということである。選択理論に基づいて創設された『現実療法(reality therapy)』は、その名称の通り、現実的に選択可能な行動の中から有益なものを選ぶことで、自分の人生や仕事、人間関係をより魅力的な素晴らしいものに変えていこうとするカウンセリング(心理療法)である。

この記事は、『ウィリアム・グラッサー(William Glasser)の選択理論と現実療法:1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 10:15 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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