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2013年07月17日

[マキャベリズムとマキャベリアン:イタリア統一を理想としたニコロ・マキャベリの政治思想]

マキャベリズムとマキャベリアン:イタリア統一を理想としたニコロ・マキャベリの政治思想

ニコロ・マキャヴェリ(Niccolo Machiavelli,1469-1527)は、イタリア半島にある多数の小国が謀略・戦争を繰り返していたルネサンス期に登場した政治思想家であり、『自国の統治と権力の維持・外国との戦争と国益の最大化・仮想敵を抑え込む軍事力の必要性』などをテーマにしたリアリズムの政治哲学を展開した。

キリスト教をベースにした建前の道徳論・正義論が説かれやすかった当時のイタリアにあって、『他者(外国)に自国の意志を受け容れさせるための実力・他者(外国)に国益を侵害されないための抑止力の重要性』を説いた戦略主義思想の持ち主がマキャヴェリ(マキャベリ)であった。ニコロ・マキャベリの主著である『君主論』に由来する戦略主義的・国益至上主義的・軍事優先的な政治思想とその世界観のことを『マキャベリズム』と呼んでいる。

マキャベリの思想や世界観を指す『マキャベリズム』は、一般的に自己(自国)の権力と利益を最大化するためには『戦争・謀略・暗殺』などの非人道的で反道徳的な手段も厭わないという『権謀術数主義・政治戦略主義』のことを意味している。個人的レベルであっても、自分の権力(影響力)の獲得・維持・拡張を目的として、それを実現するためには他人を追い落としたり苦しめたりしても構わないとする行動方略や世界観のことを『マキャベリズム』と呼ぶことがあり、そういった行動方針をクールに徹底して行う人物のことを『マキャベリアン』といっている。

政治的レベルでは『戦争は外交の手段である』と明言して自国の国民を兵力の構成要素(国益のために死ぬのもやむを得ない)と見なすような政治家のことをマキャベリアンと呼んだりもするが、マキャベリアンとは自分が普遍的・絶対的と考える目的を実現するためには『一切の制約・規制』を取り払えるような合理主義者(実利主義者)のことである。マキャベリアンは義理・人情・愛情・倫理などを理由にして自分の行動を選ぶことがなく、『自己・自国の利益と存続可能性の最大化』のみを至上の命題として『倫理的・法律的制約を考えないあらゆる手段(だまし討ち・謀略や暗殺・約束違反も含め)』を駆使しようとするのである。

マキャベリズムの範囲内における価値判断では、『目的が手段を正当化するという価値観』が強く働いており、大義名分や国益・領土の確保などの目的があればそれを実現するための犠牲は正当化されると考える。国家の主権を握る君主・代表者に対してマキャベリは、『獅子の威力と狐の狡智とを併せ持つこと』を勧めている。

だが元々、マキャベリ自身は『中世イタリアの戦国時代の悲惨・恐怖』を終わらせるために『イタリア統一を可能とする有能・冷徹な君主』を作り上げることができる政治思想を構想していた。そのことを考えると、後年になってマキャベリアンに『狡猾・冷淡で利己的(他者を使い捨てにする傲慢)な人間性』という意味が加わったのは、ニコロ・マキャベリにとっては遺憾の思いが強いかもしれない。しかし、現代ではそういった狡猾さや冷淡さの意味も含めて、(目的遂行のためにはあらゆる手段を駆使できるという自負心から)シニカルにマキャベリアンを自称する人も少なからずいる。



posted by ESDV Words Labo at 12:57 | TrackBack(0) | ま:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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