ヴァージニア・サティア(Virginia Satir):2
ヴァージニア・サティアはクライエントの自分の発言が自分の実際の心理状態を規定するという『自己再帰的な意識』に着目していて、クライエントの気持ちを心的プロセスとして捉えることを促進する以下の4つの質問カテゴリーを開発した。サティアは『静態的・固定的な心理状態の表現』ではなく『動態的・可変的な心理状態の表現』を導き出すために質問を行っており、『その感情・気持ちをどのようなプロセスとして感じているか?』という部分に焦点を合わせている。
1.How do I feel about myself? (self-esteem)=自分自身をどのように感じていますか(自己評価)
2.How do I get my meaning across to others? (communication)=他人の反応を通して、自分の存在する意味をどのように感じ取っていますか?(コミュニケーション)
3.How do I treat my feelings?(rules)=自分の感情(気分)をどのように扱っていますか?(ルール)
Do I own them or put them on someone else?=自分の感情(気分)は自分のせいで生まれていますか、それとも他の誰かのせいですか?
Do I act as though I have feeling’s that I do not or as though I don’t have feelings that I really do?=自分が持っている感情をまるでそれが存在しないように扱うか、自分が持っていない感情をまるでそれが存在するかのようにして扱うか?
4.How do I react to doing things that are new and different? (taking risks)=新しいことやいつもと異なることに対して、どのように反応していますか?(リスクの取り方)
ヴァージニア・サティアはNLP(神経言語プログラミング)の『メタ認知モデル』にも大きな影響を与えており、『自己再帰的・自己言及的な意識』を活用して『メタレベルの気持ちについての気持ちの視点=抽象度・俯瞰度の高い視点』をカウンセリングに導入することに成功している。
1959年にサティアは、 ドン・ジャクソン(MRIの初代所長)やJ.H.ウィークランド(臨床文化人類学者・所長経験者)、J.ヘイリー(戦略派の家族療法家)らと一緒に『MRI(Mental Research Institute)』の創立に参加している。
1964年には、サティアが主張する家族間コミュニケーションの機能化・正常化を主題にした家族療法のテキスト“Conjoint Family Therapy”を書いており、サティアは『アダルトチルドレン』の心理臨床分野でも先駆者としての功績を残している。後年のサティアはMRIでの心理療法の研究開発からは遠ざかって、ヒューマニスティックな人間の可能性に注目する『人間成長運動(human growth movement)』に熱心に取り組んだが、家族療法に関する著作では“People Making(1985, 合同家族療法)”という本も書いている。