交流分析を構成する『エゴグラム・やり取り分析・ゲーム分析・脚本分析』:1
アメリカの精神科医エリック・バーン(Eric Berne,1910-1970)が創始した『交流分析(TA:Transactional Analysis)』は、相互的なコミュニケーションや性格の特徴、人間関係、人生の大まかな設計図(脚本)を分析しながら問題を解決する心理療法である。
交流分析では、自我(性格)を構成する精神機能である“自我状態”のバランスを分析する『エゴグラム』やエゴグラムの結果を元に自分と相手とのコミュニケーションの内容を分析する『やり取り分析(交流分析)』が中心になっている。
『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・AC(適応的な子供)・FC(自由な子供)』の自我状態の優劣のバランスを分析するエゴグラムの性格テストでは、客観的な自己理解の拡張と深化が目的となり、自分自身の性格特徴をよく理解した上で、相手とのコミュニケーションを改善する『やり取り分析』に取り組んでいくことになる。
“自我状態のバランス”にまつわる自己理解と他者理解の客観的分析を踏まえながら、『自分と相手の言動がそれぞれどのような影響を与えるか』を認識してコミュニケーションを改善していくことが、交流分析の大きな目標の一つである。
やり取り分析の他にも、不快で後味の悪い“ラケット感情”を味わう結果に終わってしまう『ゲーム分析』を行うことがある。ここでいう『ゲーム(game)』とは相手を思い通りにコントロールしようとして行う不毛・有害なコミュニケーションであり、最終的にはお互いが不愉快なイライラとする感情(ラケット感情)を繰り返して経験することになる。無意識的に繰り返してしまうパターン化しやすい『ゲームの悪循環』を断ち切ることも、交流分析に期待される『気づきの効果』なのである。
交流分析では『エゴグラム(性格分析)』『やり取り分析』『ゲーム分析』と合わせて『脚本分析(人生脚本分析)』が行われるが、脚本分析では『自分の人生がどのように進んでいくか』という人生脚本を、よりポジティブで希望・可能性に満ちた筋書きへと書き換えることを目指している。